第5回「がんへの恐れ」抱え 家計はドツボ 賃貸住居は立ち退き

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それぞれの最終楽章おひとりさまとして(5)

フリーテレビディレクター 中村有里さん

 2021年2月、都内の賃貸マンションで暮らす私のポストに「取り壊しが決まったので7月中に出て行ってほしい」という立ち退き依頼が届いた。そこは築50年を超す2LDKで、月額8万2千円だった。

 当時の私は乳がんが再発して7年目。体調への不安から、フルタイムの仕事を辞めて、能登の宿で2回にわたって都合1カ月半ほど静養した後、2度目の滞在から帰京したばかりだった。〈なんでこんな時に……〉と途方に暮れた。だが、面倒な話に付き合っていては体がもたないと棚上げし、知人からの「京都で気功を試したら? 滞在費の一部を援助する」という突如降ってわいた提案に飛び付いた。

 インバウンド客がいない京都は住み心地がよく、3カ月間暮らした。京都に移住するというアイデアも頭をよぎったが、経済基盤が整わないこともあって断念した。それに東京はもはや第二の故郷で、離れる決断はできなかった。不動産屋によると引っ越し費用だけは出るという。それに当時、家賃の滞納分があった私は退去を強く拒むこともできず、8月、無理やり真夏の引っ越しを決行した。転居先は同じ区内で35平方メートル、家賃8万円台の物件。しかし、無理がたたったのか、そのあたりから体調が悪化し始めた。

 取り壊すはずのマンションに…

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