「マスクした日本人」の写真千枚販売 目的はAIの学習、ルールは

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高重治香
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 投稿された写真素材を必要な人が利用する「ストックフォトサービス」。通常は企業の宣伝媒体や報道で使われることが多いが、最近は意外な用途にも広がっている。人の目にはほとんど触れないかたちで大量に写真を使う需要があり、運営会社は「まとめ売り」に乗り出している。

 ストックフォトサイトの基本的な仕組みは、利用者が投稿写真から必要なものを選び、一定の条件の下で使用する契約を結ぶと、投稿者に報酬が入るというものだ。

 近年、新たなニーズが高まっている。

 画面に顔をかざして買い物する顔パス決済や防犯カメラ、工場で製品を点検するシステム、パン屋で自動的に商品の形を識別して会計金額を教えてくれるレジ……。

 このように、人の顔や物を見分けて、事前に登録された人物や物と同一かを識別するプログラムの多くは、AI(人工知能)を使っている。AIが、「顔だ」「パンだ」と認識できるようになるためには、見本として顔やパンの画像データを大量に読み込む「機械学習」が必要だ。ただ、AIが学習しやすい写真をわざわざ撮影するのは手間がかかる。

機械学習用の撮影 手間省く

 そこにストックフォトの出番があった。

 世界最大規模の「ゲッティイメージズ」(本社・米シアトル)は、およそ4年前から日本をふくむ世界各地で機械学習用の画像のデータセット(データの集合)の提供を始めた。

 メーカーや小売り、公共部門などに、計数百万枚の画像の使用権を販売してきた。たとえば農業分野では、収穫や出荷の際に果物の熟度を正確に素早く判断するため、「熟した果実」の写真の需要がある。

なぜ「日本人」の写真か

 「PIXTA」を運営する国内大手、ピクスタ(本社・東京都渋谷区)も2018年から機械学習用のデータ提供を始めた。需要のほとんどが顔写真で、利用者は主に電機・カメラのメーカーや大学などの研究機関。同社が売りにするのは、「日本人」の顔を認識するAIのためのデータだ。

 近年、写真に写った人物を見…

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    奥山晶二郎
    (サムライトCCO=メディア)
    2022年5月13日19時9分 投稿

    【視点】顔認証という最新のテクノロジーを巡る現在地を、技術や法律、倫理など多角的に取り上げています。 私自身、記事に出てくる「ストックフォトサービス」を編集者として利用しています。 たとえば「子育て」というキーワードを入力すると出てくる