お役所文書、読みづらすぎ問題 「活字オタク」がこんなに変えた

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鈴木春香
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 役所の文書はわかりにくい。そんな「常識」を打ち破ろうと、神戸市が文書改革の専門職を昨年つくった。民間から採用した「文書改革専門官」は市民向けの公文書に次々とメスを入れ、この1年で添削した文書は100を超える。

ある若手職員が抱いた疑念

 26歳の若林祐登さんは、市福祉局の国保年金医療課職員。広報に載せる「新型コロナウイルスの影響による保険料減免制度」のお知らせを担当している。

 この制度は、コロナ禍で収入が大きく減った場合などに、保険料の支払いを減らしたり免除したりする仕組みだが、適用を受けるための条件は細かい。

 前年に作られたお知らせは、狭い枠の中に言葉がぎっしり詰め込まれていた。

 担当の自分が見てもわかりやすいとは言いがたい。「初めて見る人に理解してもらえるだろうか」と疑念を抱いた。

 そこで昨年秋、文書改革専門官の松本淳彦さん(56)に相談した。

細かい内容伝えるよりも

 まず、松本さんに問われたのは「このお知らせは何をしたいのか」だ。

 指摘を受けて、若林さんは思い至った。

松本さんの指摘を受けて、若林さんが担当する「お知らせ」はどう変わったのか。記事の後半で画像でご覧いただけます。改善策は、レイアウトだけでなく文言そのものにも向けられます。

 「細かい内容を伝えるよりも…

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    牧原出
    (東京大学先端科学技術研究センター教授)
    2022年5月6日14時13分 投稿
    【視点】

    このような文書管理も、今後益々重要になるでしょう。市民からどう見やすくなるかという視線は、これまでなかなか行政の側で考えついていませんでした。デジタル化の中、見やすい画面が増え、そうしたビジュアルを見慣れてくると、読みにくい文書への抵抗感も

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    遠藤謙
    (エンジニア)
    2022年5月7日9時46分 投稿
    【視点】

    資料作りでは、大は小を兼ねない。 なぜ、情報において大は小を兼ねると思ってしまうのか。 目的に応じて、資料の作り方も変わってくる。分かりやすさを優先すると情報に優先順をつけ、優先順位の低いものをなくす作業が必要となる。そして、その資

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