春の北関東はグライダー天国 カメラで追った空中散歩

河合博司
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 3月上旬から田植えが始まるゴールデンウィーク前まで、北関東はハンググライダーやパラグライダーの愛好者でにぎわう。

 広大な田畑は着陸地点に最適で、積雪がない。茨城県には離陸地点が集まる。標高500メートル前後の山が連なり、車で機体を運び上げるのにも困らない。

 この時期、五つの全国大会が開かれる。飛行最長の国内記録約240キロ(ハンググライダー)は昨年4月、この地で生まれた。

 5大会の一つ、「板敷(いたじき)山スプリングフライト」(国際航空連盟など公認)が3月21日にあった。トビのように空を旋回したり、滑空したりして優雅に楽しむ人たちの姿をファインダー越しに追いかけた。

 茨城県石岡市の板敷山(約300メートル)を飛び立ち、栃木県芳賀町の田んぼのゴールを目指す。世界選手権の代表を選ぶレースの一つで、60キロコースで51選手が最速を競った。

 順次離陸し、上空で待機した選手は3グループに分かれて一斉にスタート。決められたダム湖や山頂の上空を通過するコースをたどり、ゴールを目指した。選手は全地球測位システム(GPS)を付けていて、厳密に通過コースがパソコン上で検証できる。着陸地点は、田んぼの地主が好意で許可してくれた。

 茨城県つくば市の自営業石坂繁人さん(41)は「上空に残る寒気と強くなった日ざしのおかげで、春は最適、最強の上昇気流が生まれます」。神奈川県葉山町の会社員小高史郎さん(51)は「動力なしで長距離を飛べるのが最大の魅力です」と話してくれた。

 競技委員長の大沢豊さん(72)によると、レースで重要なのは、①上昇気流をいち早く見つけて高度を稼ぐ旋回技術②コースを進むため水平飛行に移るタイミングだという。「時間短縮を狙って低い高度で攻めると、ゴールにたどり着けない危険が高くなります」と解説する。ゴールできるのは参加者の2~3割に限られるそうだ。

 この日は微風で気象条件に恵まれ、半数以上の選手がゴールできた。優勝タイムは1時間22分だった。東京都渋谷区のパート職員鳥海真弓さん(47)の記録は2時間33分で、生涯2度目の「完走」を果たした。着陸後、仲間と抱き合って喜んだ。「体重が軽い私でも機体をコントロールできました。最高高度1800メートルの空中散歩は格別でした」と晴れやかだった。(河合博司)