第5回学問は政治権力に萎縮しない 理由なき任命拒否、学者人生が一変した

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編集委員・豊秀一
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 2020年9月29日午後、行政法が専門の早稲田大教授・岡田正則(64)の研究室の電話が鳴った。日本学術会議の事務局からだった。オンライン授業の最中で、岡田は「かけ直して欲しい」と言い、電話を切った。

 午後6時過ぎ、再び電話が鳴った。「会員に推薦しましたが、内閣府から来た名簿に先生の名前が入っていません」と告げられた。研究中心の岡田の生活は一変することになる。

 記者の取材が殺到し、日本学術会議の会員任命を拒否された研究者として連日のように名前が報じられた。「通りを歩いていたら突然事故に巻き込まれたような感じだった」

 ほかに5人が任命されなかった(肩書は当時)。芦名定道・京都大教授(宗教学)▽宇野重規・東京大教授(政治思想史)▽小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法)▽加藤陽子・東京大教授(日本近現代史)▽松宮孝明・立命館大教授(刑事法)。

【前回】「多様性の流れは止まらない」 夫婦別姓、憲法に問う「個人の尊重」

5月3日は憲法記念日。憲法を市民の手に取り戻すために活動する人たちを描きます。連載「憲法を手に」、第5回です。

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