幹部が不正黙認 隠蔽も 「今さら止められない」 水道管塗料不正

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野口陽 田中奏子
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 水道管に不適切な塗料が使われていた問題で、塗料メーカーの神東塗料(兵庫県尼崎市)は28日、工業用など別の塗料でも虚偽のデータを顧客に提出するなどの不正が552件あったことを明らかにした。一部の幹部は不正を把握しながら黙認していた。少なくとも約35人が不正に関与していたことも判明。品質やル-ルを軽視する姿勢が長らく社内にはびこっていたことが浮き彫りになった。

 弁護士や社外取締役らの特別調査委員会がまとめた調査報告書が同日、公表された。同社は経営責任を問い、高沢聡社長の月額報酬を2カ月間50%減らすなど3役員を処分する。同日付で専務執行役員、監査役、顧問(元常務執行役員)の計3人が引責辞任した。高沢社長は同日の記者会見で「水道を利用されている方々に多大な心配をおかけした」と謝罪した。

 水道管塗料の不正は1月に発覚、調査が続いていた。調査報告書が認定した事実や同社の説明によると、8製品では品質試験のサンプルを遅くとも2007年から偽装。規定では「温度60±5度」で乾燥させるところを80度で行うなどして塗料の成分が溶け出しにくくし、認証機関である日本水道協会のチェックをすり抜けていた。01年にもこうした不正をしていた可能性が高い。

 不正は、部門の管理職も知っていた。管理職は後に技術担当役員となった。報告書によると11年ごろ不正に気づいた担当者は、「管理職も認識しており今さら止めることはできない」と考えた。内部通報制度はあったが、通報の受け皿となる委員会のメンバーには、この技術担当役員も名を連ねていたことから通報をためらった従業員もいた。

 別の18製品では08年の規…

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