長崎くんち奉納踊 3年連続中止に

三沢敦
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 3年連続の中止が決まった国の重要無形民俗文化財長崎くんちの奉納踊(おどり)」。28日に記者会見した諏訪神社長崎市上西山町)の氏子代表らは「悔しい」と肩を落とした。収束が見通せないコロナ禍に加え、昨秋明るみに出た宮司のセクハラ疑惑が中止の背景にあり、行為を否定する宮司側と退任を求める氏子側との溝が改めて浮き彫りになった。

 「関係機関と協議を重ね、なんとか開催しようと準備してきたが、信頼関係が保たれていない現在の諏訪神社の体制では断念せざるを得なかった」

 長崎商工会議所であった記者会見。13人いる氏子代表の常任総代の1人で、元船町自治会の中川進吾会長は苦渋の表情で声を絞った。

 長崎くんちは、江戸時代から約390年の歴史を誇る諏訪神社の秋の大祭。旧長崎市街の各町(踊町〈おどりちょう〉)が7年に1度回ってくる当番の年に、各町に伝わる自慢の演(だ)し物を奉納し、県内外からの大勢の見物客でにぎわう。6月1日の稽古入りを控え、踊町や、みこしを担ぐ神輿守(みこしもり)町などの関係者が開催の可否を巡って協議を重ねてきたという。

 大勢の舁(か)き手が担いで走る「舁き山」が3年ぶりに復活する「博多祇園山笠」のガイドラインを手本に開催を模索したものの、半年に及ぶ長丁場の稽古で感染対策の徹底は難しいと判断。神輿行列の「助っ人」を担う官公庁や企業の協力もコロナ禍では得られず、財源の多くを占めてきた飲食店などからの祝儀や特別寄付も見込めないとの結論に達したという。

 こうした問題に加えて開催への大きな障壁となったのが、宮司によるセクハラ疑惑だ。市内の20代女性がセクハラ被害を受けたとして損害賠償を求めて1月に提訴。常任総代全13人は女性への謝罪と退任を求めて宮司側との対立を深めてきた。このため開催に向けた協議が進まず、今から準備を始めても間に合わない状況を迎えたという。

 踊町の幹事町を務める本石灰町(もとしっくいまち)の山口哲治顧問は「感染対策を十分にやれば開催できるとの思いもあったが、セクハラは神様や氏子への背信行為。宮司がするくんちへの参加は心情的にできない」と語り、「モチベーションを下げずに来年に向けた準備をしたい」と力を込めた。

 氏子側による中止の決定に諏訪神社の新名紀夫・権禰宜(ごんねぎ)は取材に対し、「会見内容をよく確認した上で神社としての対応を考えたい」と話した。

 3年連続の中止に、田上富久市長も定例会見で「市民が大事に受け継いできた長崎の文化。くんち自体の大きな危機だ」と述べた。(三沢敦)