子育て=女性? 広告に根強い固定観念、変えるには 消費者は変化も

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栗林史子、篠健一郎
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 過去2年以内に、全世界で3人に1人「自分の価値観に違反するブランドをボイコットした」経験がある――。メディアや広告などに使用する写真や映像を提供する「ゲッティイメージズ」の調査では、そんな実態が明らかになりました。消費者が広告に求めるものが「憧れ」から「共感」に変わりつつあることも見えてきています。

 ところが、企業の側は、まだまだステレオタイプ(固定観念)で写真を使っているようです。同社が世界で行った調査によると、「家事」「掃除」に分類された写真では、女性が写った写真が男性よりも2倍以上多く選ばれていました。「子育て」の写真では、女性が男性の1.36倍で、日本では男女の差が2倍と、さらにその傾向が強いことがわかりました。「在宅勤務と子育て」に限ると、世界でも女性が男性の1.5倍でした。

 同社によると、人気写真に写る女性のほとんどは「若くて細く、健常者で異性愛者」だそうです。写っている女性の約半数は30歳未満の若い世代。体形の大きな女性や性的少数者の女性、障害を持つ女性が写っていたり、それらのカテゴリーに分類されていたりする写真はそれぞれ1%程度しか選ばれていませんでした。

 同社で利用データの分析・調査をするクリエイティブインサイツ・アジアパシフィックマネジャーの遠藤由理さんは「私たちは日々目にするコンテンツから知らず知らずに影響を受け、無意識の偏見を蓄積している。『男性がリーダー』『女性が主婦』といったものが顕著な例。そうしたステレオタイプや偏見を広げないために、多様性への理解を進め、行動喚起につながる写真を撮ったり、使ったりすることが非常に大切だ」と話します。

 なぜ、多様性に取り組む必要があるのか。どんなことに気をつければいいのか。詳しく聞きました。

消費者が求めているのは「憧れ」よりも…

 ――ゲッティはメディアや広告などに使用する写真や映像を提供している企業です。どんな経緯から、多様性に取り組むことになったのですか。

 私のチームでは、写真やイラスト、動画などの素材を通して、企業と消費者がつながるためのヒントを探っています。

 ただポップカルチャーや映画などのトレンドを分析しているだけでは消費者が求めているものが見えてこないので、2019年からは市場調査を組み合わせ、トレンドが発生する理由を探っています。これらをもとに、『こういう写真や動画を撮影してください』と制作者にアドバイスしたり、写真を使う側にも『こういう選び方をしたらいいですよ』とアドバイスしたりしています。

 ――消費者は、何を求めていますか。

 ゲッティの調査では、世界の消費者の2人に1人、日本では10人に7人が「普段目にする広告で自分のような人が出ていない」「共感できるスタイルが反映されていない」と感じています。多くの人が、「日常的に目にする映像や画像と、自分が結びつかない」と感じているのです。これが何を意味しているかというと、多様な人種や障害、体形、LGBTQ+の人を取り上げることだけが重要なのではなく、そういう人の日常生活がきちんと描かれているか、それが最重要課題ということです。

 さらに消費者がモノやサービスを購入する際、価格や品質だけではなく、個人の価値観に合うかどうかを検討することが増えています。過去2年以内に、全世界で3人に1人が「自分の価値観に違反するブランドをボイコットした」と回答しています。

「うわべだけの多様性」になってない?

 ――広告に求められていることが「モデルさんのようにきれいな人に憧れる」から、「自分と似た人に共感する」に変化している、ということでしょうか。

 そうですね。インスタグラム

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    能條桃子
    (NoYouthNoJapan代表)
    2022年5月4日14時43分 投稿
    【視点】

    消費者のジェンダー意識が変わってきており、企業を見る目も厳しくなっています。現在の不均衡な状態に対して、ニュートラルな立場を取ることが差別への加担だという認識が強まっている中で、制作する側にも変化が求められていると思います。

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