あしかがフラワーパーク、藤が満開

根岸敦生
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 フジの名所として全国的に人気の高いあしかがフラワーパーク(栃木県足利市迫間町)では今、「ふじのはな物語2022」が開かれている。樹齢約160年、約1200畳の棚に枝を広げた大藤がちょうど満開の時期を迎えた。

 今年は開園25周年を迎えた。前身は同市朝倉町にあった1968年開園の「早川農園」。周囲に住宅が増え、約1万坪(約3万3千平方メートル)の敷地では狭隘になっていた。再開発計画のため、現在地に1997年に移転した。移転を決断した早川ホールディングス会長の早川慶治郎さん(77)は「植物園は造るのも維持するのもコストがかかるのでほとんど公立。民間の観光植物園としてやっていくには手狭で厳しかった」と振り返る。

 父の和俊さんが、一生かけて集めてきたフジやクルメツツジに愛着があった。大きな池ではボート遊びに興じることができ、評判のスポットだった。「レジャーの少ない時代の社会貢献だった」と振り返る。

 早川農園の跡地をショッピングセンターに転換し、約10万平方メートルの現在地へ。跡地にはダイエーが出店した(現在はヨークベニマル)。「ショッピングセンターの賃貸と組み合わせれば、観光植物園の経営は成り立つと考えた」という。

 連想したのは日本庭園で名高い島根県足立美術館だ。「私とは趣味が違うけど、日本には庭を鑑賞する文化がある点は同じ」。89年に移転を思い立ち、フジなどの移し替えの用意に丸3年かけて準備を進めた。

 移転先は市の東部にある湿地帯だった。約10万平方メートルの敷地に約250トンの炭を敷き詰めた。「土壌の浄化で活力を高めた」と話す。難しいと言われるフジの移植も、枝を切り詰め、折れやすい幹を補強し、樹木医の塚本こなみさんを招いて実施した。

 早川さんは「多くの方々の助けがあった。大丈夫かなという不安と同時に、子どもの頃から父の手伝いをして移植をしていたので、大丈夫だろうという自信はあった」という。年間八つのテーマを決め、営業を開始した。数年で樹勢が以前より増し来場者も増えた。

 早川さんは「観光はつかみどころがない市場」と言う。来場者の動向を丹念に調べた。米CNNで「世界の夢の旅行先10カ所2014」で国内で唯一選ばれたり、「日本夜景遺産」に認定されたり。今年のフジの季節には来場者50万人を見込んでいる。「植物は10年経つとバランスが崩れる。常に改修し、感動を創り出し続ける」。園内は今、フジの花の甘い香りに包まれている。「デジタルで動いている今、正反対のリアル、アナログは大切だと思う。癒やしです」と話す。国内旅行サイトのじゃらんが3月に調査した「一度は行ってみたい花絶景」ランキングで1位に選ばれた。

 ゴールデンウィーク期間中は多くの来場者でにぎわう。盛りを迎えた大藤に続き、白藤、黄藤と順に花盛りを迎える。5月15日まで夜のライトアップが一段と彩りを添える。園の周囲は例年、渋滞するが、足利、佐野の両市では駐車場を提供、JR両毛線を利用しての訪問を呼び掛けている。根岸敦生