「赤い紙」が貼られた工場の謎 大都市郊外の田園に立つ違法な建築

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森下友貴 松浦新
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現場へ! 農地と開発①

 その郊外にある地域は、東北新幹線などの東日本の交通の要である大宮駅(さいたま市)まで電車で10分余り、東京都心にも1時間ほどで出られる。

 少し行くと国道16号や新大宮バイパスといった幹線道路があり、大型量販店などが相次いで進出している。一方で近くを荒川が流れ、昔ながらの田園風景も広がる。

 さいたま市西区のこの地域に、「使用停止」と書いた赤い紙を貼られた建物が立つ一角がある。市長名で「都市計画法に違反しているため」と記されている。記者が探しただけで、工場3棟と倉庫、コイン精米所の計5棟を見つけた。

 市に聞くと、「さいたま市違反開発等に関する事務処理要領」による指導の紙だった。市の現地調査で都市計画法違反が明らかだと判断された場合、行政指導と並行して貼られる。

 建物のうち2棟は法務局に登記されていた。1973年築の鉄骨と木造の2階建て約370平方メートル、88年築の鉄骨造り平屋建ての300平方メートルとある。残り3棟は登記もされていない。

 市は行政指導の段階だとして公表していないが、このあたりは原則として建物が建てられない「市街化調整区域」だ。昔からの田や畑が広がっており、農家やその親族の家などは例外的に認められるが、許可なく工場などは建てられない。

 記者は2018年にこの建物の存在を知った。その時にすでに紙が貼られており、日付は「17年9月1日」だった。

 関係者によると、工場は鉄工…

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