アートと人を結ぶ 浜松・工場跡地のギャラリー

長谷川智
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 【静岡】浜松市中区の工場跡地を活用したギャラリーが取り壊されることになり、大型連休に最後の展示会が開かれている。約300平方メートルの自由な空間がアート関係者の間で関心を集めてきたが、最後はひもを結んだマクラメ作品の展示だ。

 「GALLERY CAVE(ギャラリーケイブ)」で、運営者は磐田市の山内啓司さん(66)。日大芸術学部を卒業して家業の自動車部品工場を継いだが、アートへの思いを断ちがたかった。2002年に機械部品の修理工場跡を借り受け、04年に完成させた。

 山内さんは「浜松には外国人が多く、アートに関心のある人もいた。作品発表だけにとどまらず、多くの人が自由に交流する場になればと思った。利益は二の次で、無理せず続けてきた」と話す。

 最初は2カ月に1回の展示を企画し、記録冊子も作った。制作者が泊まり込んだり、ダンスを交えたイベントを開催したりした。関わった人は県内を中心に約100人。しかし、マンション建設の話が持ち上がり、5月で幕を閉じることになった。

 最後の展示をするのは、浜松市東区の鈴木真弓さん(72)で、テーマは「一本の糸からの共鳴」。専業主婦だが、約40年前に転勤族の主婦にマクラメを教わった。掛川市横須賀地区で開かれる「ちっちゃな文化展」に参加し、空間芸術の腕を磨いた。

 鈴木さんは「ここでの展示は4回目になるが、自由に使える貴重な場所。思い出が詰まっている」と話す。展示は会場を一杯に使い、4月30日と5月1、7、8、14、15日の6日間で、入場無料。14日は午後4時から松田英子さんのソロダンスもある。

 山内さんは8月以降、区内の別の場所で2階建ての倉庫を借り、新たな拠点とする予定だ。「1~2年かけて整備し、ネットで映像を発信するメディアと既存の作品を組み合わせたライブアートの場にできれば」と思っている。(長谷川智)