なぜここに? 農地に老人ホーム計画やスーパー建設 所有者はだれ?

有料会員記事

松浦新
[PR]

現場へ! 農地と開発⑤

 農家が高齢化し、後継者難が深刻になっている。田畑を維持・管理する費用はばかにならない。だからといって、建物を原則建てられない「市街化調整区域」にある農地をほかの用途に変えるには、都道府県などの許可が必要で難しい。

 それでも、「負債」とも言える農地の転用に期待を寄せる農家は多い。そんな農家の感情を逆なでするような転用の問題が時折起きる。

 埼玉県鴻巣(こうのす)市で2020年、原口和久市長が調整区域で所有する田んぼを転用し、特別養護老人ホーム(特養)に貸す計画が表面化した。特養は多くの自治体が例外の一つとして調整区域に建てることを認めている。

 「公私混同ではないか」。市議会でそう指摘された原口市長は「何度も断ったが、適切な土地がないと聞いて申し入れを受けた。担当に指図は一切していない」と答えた。

 これを聞いた地元農家は「みんなが建ててほしいのに、自分の田んぼに建てさせるのは市長がすることではない」などと反発した。特養を計画する社会福祉法人の理事長は元県議で、計画を認めた県は自治会の幹部5人に説明しただけで「地元の同意」とみなし、地元説明会も開かれていなかった。

 反対の署名活動が始まり、地元住民の半数以上の世帯が署名した。結局、社会福祉法人は建設の断念に追いこまれた。

 同県熊谷市では18年、元民主党衆院議員が関わって農地がスーパーの用地に転用され、高値で転売された問題が発覚する。

 農地は、熊谷市役所の東約2…

この記事は有料会員記事です。残り779文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
  • commentatorHeader
    市田隆
    (朝日新聞編集委員=調査報道、経済犯罪)
    2022年5月13日20時21分 投稿

    【視点】規制が厳しい農地転用をめぐっては、転用の許可申請を審査する農業委員会の委員が、申請業者に便宜を図る見返りに現金を受け取ったなどとする贈収賄事件が、毎年のように全国各地で摘発されている。わいろの金額は多くても数百万円で、転用許可で開発に道が開