新型コロナウイルスに感染して入院中の高齢者に、早い段階からリハビリをすることを関連学会が呼びかけている。重症化しやすい高齢者は入院することが多い一方で、心身が衰えて自宅に戻れなくなるなどの弊害もみられるからだ。感染者数が高止まりする中、第7波に向け、リハビリを広げるための課題は何か。(下司佳代子、編集委員・辻外記子)
大阪市西淀川区の二次救急病院、西淀病院(218床)。4月中旬、コロナに感染した患者が入院する「レッドゾーン」に、理学療法士が入った。90代の男性患者にリハビリをするためだ。「体調どうですか?」などと声をかけ、脈や血圧に異常がないかを確認。患者を起こして座ってもらったり、立ってもらったり。状態に合わせ、歩く練習などもする。
2020年3月から新型コロナ患者を受け入れてきた同病院では、第4波の2021年5月、早期リハビリを始めた。それまでは、隔離期間が終わった人が対象だったが、入院中は会話もなく寝てばかりで刺激が少ない。お年寄りは、筋力が低下するだけでなく、のみ込む力が落ちて食事量が減り、認知症が進みがちだった。
入院早期からリハビリをすることで、ADL(独立して生活できる指標)が下がらず、自宅に戻れた患者の割合は増えたという。早期リハビリ開始前の平均入院期間は46日だったが、今年に入ってからは軽症者が多いオミクロン株の影響もあり16日になった。
記事の後半では、重症者も対象に第1波からリハビリをしてきた病院の様子や、学会の見解などを紹介します。
リハビリの時間は通常、必要…
- 【視点】
様々な病気の患者への早期のリハビリが効果的だとされ、実践され始めたのは、10年以上前からのことです。たとえばがん。日本リハビリテーション医学会は、「がんのリハビリテーションガイドライン」を2013年にまとめています。手術の前や手術直後に、が

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