記者が殺傷された年に生まれた安田菜津紀さん もう一つ気になる事件
1987年5月3日、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に男が侵入して散弾銃を発砲し、記者2人を殺傷した。犯行声明を報道機関に送りつけながら「赤報隊」は事件を重ね、いずれも未解決のまま2003年に完全時効となった。
35年前の憲法記念日に放たれた銃弾は、分断と不寛容が指摘される現代に、何を問いかけているのか。フォトジャーナリストの安田菜津紀さん(35)は「事件は過去のものではない」と言う。
やすだ・なつき 1987年、神奈川県生まれ。16歳の時にカンボジアを訪れて以来、国内外で難民、貧困、災害などを取材。NPO法人「Dialogue for People」副代表。著書に「写真で伝える仕事」など。TBS「サンデーモーニング」にもコメンテーターとして出演している。
安田さんは阪神支局襲撃事件の1カ月余り前に生まれた。事件の記憶はもちろんないが、毎年この時期に事件の報道に触れる度に、事件で何が問われているのかを考える。「記者の取材活動や報道機関が脅かされ、報道が萎縮させられることは、私たちも無関係ではない」
日本人を含めて記者が相次いで殺されたシリアなどでも取材してきた。事件は人ごとではないと感じる。「記者を殺し、報道の自由をゆがめるようなことには徹底して抗(あらが)わなければいけない」と思う。
一連の事件の中で支局襲撃と…
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