危うい行政との「目標の共有」 信頼得るためメディアが取るべき道

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聞き手・稲垣直人
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交論 問われるメディア

 メディアへの信頼が揺らいでいると言われて久しい。一部の新聞社やテレビ局と行政、政治が接近しすぎているのではないかとみられる事例が相次いだ。海外のメディア事情にも詳しい奥村信幸・武蔵大教授(ジャーナリズム研究)に問題はどこにあるのか聞いた。(聞き手・稲垣直人)

おくむら・のぶゆき

1964年生まれ。武蔵大教授。テレビ朝日ディレクターなどをへて現職。

 ――最近のメディアと行政や政治家の接近をどう見ますか。

 「取材・監視対象でもある行政と提携したり、政治家と目的や利害を共有したりするのは、ジャーナリズムの原則からはかなり異例といえ、日本に独特のものだと思います。メディアとしての自分たちの立ち位置が読者や視聴者からどう見られるか、想像する力が欠けているのではないでしょうか」

 ――想像力ですか。

 「読売新聞大阪府の協定では、府は読売を本当に優先的に取り扱わないのか読者は確かめられません。たとえ読売や府が私たちを信用して下さいと言ったとしても無理だと思います。信用してもらうにはやはり連携しないことが最も合理的です。信用を損ねる危険を上回るメリットがあれば聞きたいのですが、納得のいく説明は得られていません」

メディアと行政・政治家との接近を「想像力の欠如」と指摘する奥村さん。記事後半では、メディアが目指すべき方向性を語ります。

 ――具体的にどんな問題が起こりうるでしょうか。

 「連携の例として、府の新型…

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