小さな好奇心で喜び見つける2人組 「チリとチリリ」に込めた憧れ
「チリチリリ チリチリリ」。自転車を鳴らしながら、おかっぱ頭の2人組、チリとチリリは出かけます。森の中、海の中、街の中へ……。8作目まで続く人気シリーズの誕生秘話を作者のどいかやさんに聞きました。
「チリとチリリ」(アリス館、2003年、シリーズ累計40万部)
おかっぱ頭の2人組、チリとチリリは早起きをしたある日、自転車で出かけることにしました。森の中を走っていくと喫茶店やサンドイッチ屋さんに出合います。2人はどんどん自転車を走らせていき……。
おかっぱ頭の2人組、チリとチリリが自転車に乗って森の中を進んでいく。動物たちが営む喫茶店やサンドイッチ屋さんに寄ったり、ホテルに泊まったり――。
2人は憧れの姿
「チリとチリリ」は、20年ほど前に旅行の道中で思いついた絵本です。広島から出雲へ車で向かう途中で緑の深い山道を通りました。「この中で、何か不思議なことが起こっていてもおかしくない」。そう思わせる神秘的な力を感じました。人間は何でも知っている気になっているけれど、知らないところに別の世界があるかもしれない。旅先に着くとすぐに、断片的なアイデアをホテルのメモに走り書きしました。
「チリとチリリ」には、私の憧れが詰まっています。森の喫茶店で注文するどんぐりコーヒーやれんげティー、サンドイッチ屋さんで買うきなこパンのくりジャムサンド。絵本に出てくる食べ物や飲み物は、私が食べたいものを描いています。日が沈んでからたどり着く森のホテルにも泊まってみたいですね。シリーズ6作目「ちかのおはなし」で描いた2人の部屋のロフトベッドは、子供の頃に欲しかったものです。何より、2人がすんなり動物たちの世界に入り込み、その一員になっている姿に憧れます。
シリーズは8作目まで続いて…