スポーツ庁が主導する有識者会議は31日、運動部活動を地域に移行することなど、部活改革の提言を固めた。近く国に提出する。2023~25年度を「改革集中期間」とし、公立中学校の休日の指導を民間クラブなどに委ねていく。文化庁も文化部活動の地域移行を検討中で、7月をめどに提言がまとまる見込み。学校内で完結していた部活動が、学校の外部へと移る大きな転換になる。
少子化により選択肢が狭まる部活動の多様なかたちを確保し、教員の負担を軽減する働き方改革につなげることを目指す。委ねる先は、総合型地域スポーツクラブ、スポーツ少年団、大学など。学校外施設で活動したり、外部指導者が学校で指導したりする。すでに約100の自治体で実践研究が行われている。
提言は、まず国が早期に「運動部活動のあり方に関する総合的ガイドライン」を改訂することが適当だと指摘。自治体が地域の実情に合わせた推進計画を作り実行することを求めた。将来的には平日も含めた移行を視野に入れている。
人材や費用をどうまかなうかを課題として挙げた。スポーツ庁が委託した調査では、主に土日の運営主体が外部になった場合、従来の部活動よりも1人あたり年間約1万7千円多くかかるとしている。「国の支援が必要」と提言で国費の投入を求めたほか、スポーツ振興くじ(toto)の助成を財源とする案が示された。
また、民間クラブが各大会に出場できるよう、そのあり方を見直すことも求めた。日本中学校体育連盟はスポーツ庁の要望を受け、すでに全国中学校体育大会(全中)の参加資格緩和を通達し、今月にも規定整備を進める方針だ。
能力別のリーグ戦など勝利至上主義に寄らない大会が必要であるとも指摘。年代を超えて大人や高齢者たちと共に地域でスポーツを楽しむ素地を醸成し、生涯スポーツという枠組みのなかに部活動を内包していく視点も盛り込まれている。
今回の提言は公立中学校を対象としているが、国立についても同様の改善が必要であり、積極的に改革を進めることが望ましいとした。私立については、建学の理念を尊重する視点から、改革を推奨するにとどめた。高校は、義務教育ではなく進路選択した生徒自らの意思で部活に参加していることや、スポーツを特色とする学校が存在することなどから、「中学校とは異なる状況にある」と明記。学校の実情に応じた取り組みを推奨している。
高校入試については、部活動が評価の対象になっていることに対して、「大会成績のみでは多面的な評価を実施するには不十分」と指摘。高校入試の実施者である都道府県教育委員会などに、評価方法を見直し、生徒や保護者に理解を促すことを求めた。(松本麻美、中小路徹、山本知佳、神宮桃子)
先行事例、専門指導が好評
スポーツ庁は昨年度から、先行して推進事業に取り組む自治体を各都道府県に置き、課題の洗い出しなどを進めてきた。
その一つが、埼玉県白岡市だ。剣道、ソフトテニス、軟式野球、バスケットボール、バレーボールなどの運動部と、吹奏楽部。4校の計10の部で、土日の活動を地域の指導者に委ねた。
後半では、先行的に実証実験をした自治対の取り組みから課題を読み解きます。働き改革の当事者である教員の期待感や懸念、専門家の視点もご紹介します。
場所は校内に指導者が来る形式にした。「生徒らから『そのまま学校で』という声が多かった」と市の教育指導課の担当者。
派遣された指導者は計22人…
- 【視点】
この記事にあるスポーツ庁会議の委員ですが、報告書取りまとめの5/31会議で室伏長官がおっしゃられたのは、生徒の選択肢を広げ、多様なスポーツ経験や放課後の活動を広げること、子どもたちへの体験格差をなくすことです。 家計負担の問題も、地方
- 【提案】
学校の先生を休ませてください。国家試験を突破した、教職免許を持つプロフェッショナルなのだ。相応しい待遇を受ける権利はあるであろう。ワークライフバランスを保つ権利も、部活の顧問などの追加業務を断る権利も。週末だけではなく、夏休みも、授業がない