第4回「これは行けるかも」しかし…若き挑戦者に立ちはだかる「絶対王者」

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有吉正徳、田村隆昭
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 1980年代はポルシェホンダ。90年代はルノー。そして2000年代はフェラーリ。

 どんなスポーツにも存在する「絶対王者」。F1の歴史をひもとくと、そうそうたる名前が上がる。エンジンメーカーとして隆盛を誇った。そして現在の覇者はドイツの雄、メルセデスだ。

 第2次大戦前の1930年代、軽量化のために塗装をはがし、車体のアルミ部分そのままにレースを戦ったというエピソードから、レース界では畏怖(いふ)を込めて「シルバー・アロー」と呼ばれる。

 90年代にエンジンを供給する形でF1に復帰し、王座も獲得したが、それでは物足りなかったのか。

 2008年のリーマン・ショック後、ホンダやBMW、トヨタが相次いで撤退していくのとは逆に、車体とエンジンをともに製作する「ワークスチーム」を1950年代以来、再び立ち上げた。

 2010年から参戦した車体のカラーは当時と同じ、白銀をまとった。

 そのメルセデスが圧倒的なスピードを見せ始めたのは14年以降だ。

 エンジンと呼ばれていた内燃機関と電気エネルギーを併用するようにレギュレーション(規則)が変更され、F1車の動力源が「パワーユニット」と呼ばれるようになると、勝利をほしいままにした。

 20年までの7年間で138戦102勝を上げ、チーム、ドライバー部門とも前人未到の7連覇。その点から、「史上最強」といっていい。

 イギリス出身のエースドライバー、ルイス・ハミルトン(37)もドライバー部門で、史上最多タイとなる7回の年間王者を獲得し、円熟の域に達していた。

 ホンダがパワーユニットを提供するチーム、「レッドブル・ホンダ」が倒そうとしているのは、そういう相手だった。

 ホンダにとって、最後のシーズンの開幕が近づいていた。設計を一から見直した「新骨格」のパワーユニットも、何とか形になった。

 「奇跡」

 本田技術研究所「HRD Sakura」(栃木県さくら市)でパワーユニットの開発を指揮する浅木泰昭(64)は、こう胸をなで下ろした。

2位に感じた手応え

 21年3月、バーレーングランプリ(GP)で、ホンダ最後のシーズンが幕を開けた。

 レッドブル・ホンダは決勝ス…

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