終活であふれる収蔵庫「まるでテトリス」 博物館本来の役割に危機感
大木理恵子
遺品の整理や災害などを受けた文化財の寄贈を背景に、多くの博物館が収蔵庫不足の問題を抱えている。資料の収集と保存は、博物館の重要な役割。だが、年々増える寄贈で資料を保管するスペースが埋まり、学芸員は「博物館の本来の役割が果たせなくなってしまう」と頭を悩ませている。
熊本城の敷地内に立つ熊本博物館(熊本市)は1952年の設立以来、14万点以上の文化財などを収集してきた。近年は世帯主の死亡増や遺品を事前整理する終活に伴い、家に眠っていた文化財の寄贈の相談が増えた。県内に大きな被害をもたらした熊本地震も申し出の急増を後押しした。
記事の後半では、収蔵庫の逼迫(ひっぱく)に悩む各地の博物館の状況を紹介します。スペースの確保や対応策にはどんな課題があるのか、迫ります。
同館では寄贈の相談を受ければ、使われていた場所や時期などを調べ、熊本との関連性など博物館の収集方針と照らして受け入れを検討する。最近は、発売初期のテープレコーダーなど昭和初期以降の電化製品の寄贈相談もあるという。
発売初期のテープレコーダーなども寄贈相談
分野を問わずスペースに余裕…