欠航、あいまいにうなずいた船長 三つのセーフティーネット機能せず

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佐野楓、平岡春人、田中紳顕 江戸川夏樹、磯部征紀
【動画】23日に遭難したとみられる観光船=自然ガイドツアーの参加者提供
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 北海道・知床半島沖で4月23日、26人が乗った観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故は、発生から1週間が過ぎても懸命の捜索が続いている。あの日、何が起きていたのか。なぜ惨事を防げなかったのか。専門家はいくつものセーフティーネットが機能していなかったと指摘する。

 一隻の船が、白い航跡を引きながら半島の岸近くを北東に進んでいた。

 自然ガイドの綾野雄次さん(61)が、その船を目撃したのは23日午前10時10分ごろ。船は、地元の観光船の拠点であるウトロ漁港(斜里町)の北東約4キロ付近を進んでいた。

 船までの距離は約200メートル。双眼鏡をのぞくと、救命胴衣を身につけた人が甲板に複数いた。

 この時間帯の陸上の気温は10度ほど。乗客の多くは船内にいる様子で、「海上が寒くて船内から(名所の)滝を見ているのだと思った」と振り返る。両親と一緒の3歳の女の子、プロポーズを控えた若者……。乗員・乗客26人が乗っていたことはあとから知ったという。

 船から観光アナウンスの音が聞こえてきた。これまで同じ場所で何度も観光船を目にしていた。この時も船の調子は悪そうに見えず、海面は穏やかだった。

 この日、地元の小型観光船4社のうち、出航していたのはカズワンの運航会社「知床遊覧船」の船のみ。綾野さんが目にしたのはカズワンとみられている。

 これを最後に、「目撃情報」は途絶えた。

 綾野さんが船を目撃したとき…

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