世界的指揮者ゲルギエフが沈黙を守るわけ 問われるプーチンとの関係

有料会員記事ウクライナ情勢

編集委員・石合力
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 ロシアのプーチン大統領との密接な関係が問われ、ウクライナ侵攻を機に欧米の音楽界から事実上追放された世界的指揮者ワレリー・ゲルギエフ(69)。その演奏活動は時に政治的な色彩を帯びるものとして論議を呼んできた。

 その象徴的な事例が2008年、ロシア占領下の南オセチアで開いた「紛争犠牲者追悼コンサート」だった。

 ロシア国旗や南オセチアの旗のなびく広場で、ゲルギエフはマリインスキー歌劇場管弦楽団を指揮し、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴(ひそう)」などを演奏した。

 なぜ彼はこの地で演奏したのか――。

カフカス地方で過ごした少年時代

 19年、パリでのインタビューで尋ねると、まず最初に切り出したのが自分自身についてだった。

 「私はオセチア(オセット)人なのです」

オセチア人

 オセチア人とは、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス(カフカス)地方中央部の山岳地帯に住むイラン系の少数民族です。人口は約70万人で、ロシア連邦内の構成国「北オセチア・アラニア共和国」と、ジョージアの自治州「南オセチア」にまたがって暮らしています。

 モスクワで生まれたゲルギエ…

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    石合力
    (朝日新聞編集委員=国際関係、外交)
    2022年5月9日13時32分 投稿
    【視点】

    取材後記です。このときのゲルギエフ・インタビューの主目的は、「コンサートホールの音響について」、でした。もとの記事は、「客席、ステージ囲む?向かい合う? ホール音響、欧州で議論」で読めます。 https://digital.asahi.c