くたくた、長時間ミーティングの真意 通訳が語るオシムさんの温かさ

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聞き手 編集委員・中小路徹
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 80歳で死去したサッカーの元監督、イビチャ・オシムさん。日本代表監督時代に、通訳を務めた国際ジャーナリストの千田善さん(63)が、思い出を語ってくれた。

     ◇

 私にとってはただの通訳とクライアントの関係ではなく、人生の恩師のような存在でした。年齢的には覚悟はしていましたが、言葉もありません。

 前の晩も自宅で普通に過ごしていたのが、朝に急変したそうで、ご家族にも急なことだったと思います。

 選手との接し方をみていると、オシムさんは単なるサッカー指導者ではありませんでした。

 「試合やトレーニングのパフォーマンスは、一日のうちの残りの二十数時間で何をするかで決まる」

 そんな話もする一方で、「サッカーは人間がするスポーツ。選手の性格やこれまでの人生がプレーに表れる」というところから出発していました。例えば、何度もベンチを振り返って指示を仰いでいた選手が積極的にいけるよう、「チャレンジしろ。失敗したら責任は俺がとるから」と選手を励まし、レベルを二つ三つ上げる。そういうことをされていた方でした。

 ある選手が代表合宿に来たものの、コンディション不良で別メニューだったことがありました。オシムさんはその選手の近くに行き、こう声をかけました。

 「おまえ、またけがをしたの…

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