都会の絶景、眺めながら朝食を 広島の魅力、早起きツアーで発信

大久保貴裕
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 ごちそうのたくさん詰まった木箱を背負い、外国人とともに笑顔で山道を上っていく。三村理紗さん(35)がいざなうのは、広島の街並みを一望できる隠れた絶景スポット。朝日に輝くビル群を見下ろしながら、こだわりの朝食や菓子を味わえるガイドツアー「Asageshiki」を立ち上げるとたちまち人気を呼んだ。

 瀬戸内のチヌ、音戸のちりめんじゃこ、広島の地鶏……。地元の老舗と相談し、色鮮やかな特製朝食を考案。茶器やデニム地のピクニックシートも中国地方の特産品でそろえた。世界の旅行者が広島を日帰りで終わらせるのはもったいない。プラス1泊につながる「早朝の観光ツアー」をつくろうと、交通の便の良いJR広島駅近くの二葉山(139メートル)にある神社の参道や眺望スポットを1年かけて整備した。

 大学時代に米国留学を経験。「HIROSHIMA」と出身を明かすと知名度の高さに驚いた。でも「街は大丈夫?」と聞かれたこともあり、イメージが77年前で止まっているとも感じた。ツアーでは眼下に広がる光景と白黒写真を対比させながら、街の歩んだ道のりを伝えることを欠かさない。これまでに日本在住の米国人、インド人、スペイン人、中国人らも参加してくれた。

 実家は100年超の歴史を誇る伝統工芸品「熊野筆」の製造会社だ。家業の営業や商品開発に携わるなかで、担い手不足など同業者の悩みを耳にした。世代や国を超えて土地や文化に関心を持ってもらうきっかけづくりをしたいと、地元の同世代の仲間とコラボしたイベントを企画。こうした経験が異色のツアーの誕生につながった。

 「広島の持つ魅力を楽しく、色んな角度から磨いていきたい。コロナ禍が終われば世界の人たちにもっと広島の良さを知ってもらえるはず」(大久保貴裕)

     ◇

 熊野町出身。美容商社の営業職などを経て、文化や伝統工芸を国内外の若い世代に広める一般社団法人「My Japan」の代表理事。ツアー名は朝食を意味する「朝餉(あさげ)」と「朝の景色」をかけた。「Asageshiki」(https://www.asageshiki.com/別ウインドウで開きます)から申し込める。

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