ラグビー助っ人は巨体の武将 沈まない「周極星」に職人が込めた願い

坂井俊彦
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 ラグビー国内最高峰・リーグワンの初代王者をめざし奮闘中の埼玉パナソニックワイルドナイツに頼もしい助っ人がいる。ロゴマークに描かれた兜(かぶと)をつけた身長2メートルほどの武将の人形だ。熊谷ラグビー場近くのクラブハウスに鎮座し、選手たちを見守る。

 制作したのは、江戸末期嘉永年間創業の人形制作・販売の「長野屋」(熊谷市本町1丁目)の山車人形師、六代綱季(つなすえ、本名・小谷野宏樹)さん(59)。かつて人形の一大産地だった熊谷だが、いまでは制作まで手がける人形店は長野屋だけだ。昨年8月、群馬県太田市から熊谷市に移転してきたワイルドナイツが六代に制作を打診した。六代は、地元で約270年続く「熊谷うちわ祭(まつり)」で巡行する山車人形なども彫金以外の鎧(よろい)・兜・人形すべてを内製してきた実績と、「熊谷に来てくれたチームを応援したい」という思いから制作を引き受けた。

 デザイン画をもとに半年かけて完成させた六代によると、鎧・兜は鉄砲伝来以降、戦国時代の当世具足。鉄などの金属をふんだんに使っているのが特徴だ。兜の前の飾りが稲光、左右の鍬形(くわがた)が牛の角であることから六代が「雷前立野牛觚(いかづちまえだてやぎゅうこう)具足」と名づけた。兜の吹き返しには北斗七星、胴にはカシオペア座という沈まない「周極星」が描かれている。チームが勝ち続け、成績が落ちないことを願う象徴である。(坂井俊彦)