第3回独裁者の長男ボンボンに重ねる「英雄」の姿 人気の裏にSNSのデマ

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バタック〈フィリピン北部〉=宋光祐
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 黒髪にシャギーを入れたロングヘアの若い女性がスマホにピースサインを向け、笑顔で実況中継を始める。「ハーイ! 今から『ニューソサエティー』を聞いたときのお父さんのリアクションを撮影します!」

 「ニューソサエティー」とは、フィリピンで1986年まで独裁体制を敷いた故マルコス元大統領をたたえるプロパガンダソングだ。

 フィリピンの若者たちの間では今、当時を知る世代がこの曲を聴いた時にどんな反応を見せるかを撮影して動画アプリ「TikTok」に投稿する遊びがはやっている。

 女性の父親は曲を聴いた途端、お茶を入れる手を止めてカメラに向かって敬礼し、足踏みを始めた。TikTokでは他にも、声を合わせて「ニューソサエティー」を歌い出す家族の姿などが投稿されている。

【連載】ストロングマンの呪縛 フィリピン大統領選

過激な言動で「ストロングマン」と呼ばれたドゥテルテ大統領はフィリピン社会に何を残したか。強権的な政治にほんろうされた人々の姿から、残りわずかとなった6年の任期と9日に迫る大統領選への影響を検証します。

共有されないマルコス政権の負の歴史

 マルコス政権下では1万人を超える市民が殺害や拷問、強制失踪などの人権侵害を受けた。政権の崩壊後にはマルコス一家による数千億円から1兆円規模の不正蓄財も明るみに出た。

 しかし、フィリピンの学校で…

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    パトリック・ハーラン
    (お笑い芸人・タレント)
    2022年5月9日20時54分 投稿
    【視点】

    独裁者の父の負の歴史をしっかり認識し、謝罪、反省、償い、再発防止措置の設定など、新マルコス大統領にお願いしたいことは山ほどある。同じことを、ストロングマンの父を持つ新ドゥテルテ副大統領にもお願いしたい。が、現実的に考えるとそんな夢が叶いそう

連載ストロングマンの呪縛 フィリピン大統領選(全3回)

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