越谷で持続可能な農業を イチゴに続く第2弾「越谷スカイメロン」

加藤真太郎
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 埼玉県越谷市でメロンの産地化への挑戦が続いている。試験栽培を始めて5年目。メロンの愛称は「越谷スカイメロン」に決まり、商標登録を申請中だ。市内の農業ベンチャーが参入に向けて動き出すなど、芽は膨らんでいる。

 郊外には田畑が広がり、米、ネギや小松菜、山東菜などの栽培が盛んな越谷市。だが、農業従事者の高齢化や後継者不足などで農家や農地は減り続け、取り巻く環境は厳しい。

 都心から25キロという立地特性をいかし、若い担い手や新規の農業参入を促そうと、市は「高収益で持続可能な都市型農業」をめざしている。その第1弾はイチゴ。生産農家は10軒に増え、2015年開園の「越谷いちごタウン」は年間約3万人が訪れる関東最大級の観光農園に成長した。

 メロンはイチゴに続く第2弾だ。1年を通して栽培できる町田商工会議所(東京都)の「まちだシルクメロン」の農法をとりいれ、18年から試験栽培を始めた。

 通常の農法だと、1株から1~4個の収穫にとどまるが、町田式の農法では1株から約20~60個、年間3~4回の収穫が可能だ。作業の負担も少ないという。

 市農業技術センターの試験温室には、美しい網目模様が入った薄緑色の実が、たくさん垂れている。試験栽培を重ね、名産地に劣らない糖度15度超のメロンも収穫できるようになった。

 ここで昨春から、共同で栽培研究を始めたのが、市内の農業ベンチャー「農業デザイン」の執行役員・高橋直之さん(35)だ。熊谷市出身で、10年間の銀行員生活で中小企業を回り、地域に貢献したい思いを温めていたときに、越谷市のメロンへの挑戦を知った。「地方創生のベースは農業。観光にも結びつけられる」と話す。

 北海道や茨城県など国内メロンの名産地に対抗するには、付加価値が必要。デザートや加工品も含めたビジネス展開やブランド戦略を練っている。メロンを入れる箱も有名デザイン会社に依頼した。年内にも事業を本格化させたいという。

 市内の洋菓子店など6店舗では8日まで、越谷スカイメロンを使ったケーキなどが味わえる「メロンフェア」を開催している。「パティスリー・ビィズ・ショコラ」(新越谷2丁目)では、一口大のカットメロンをふんだんにのせたケーキなどを販売。酒井賢一オーナーパティシエは「茨城産にひけをとらない。課題は質、量ともに安定して手に入るかどうか」と話す。

 越谷駅東口の観光物産拠点施設「ガーヤちゃんの蔵屋敷」では、越谷スカイメロンを1個3千円(税込み)で限定販売している。6日が最後で、8~10個ほどが並ぶ予定だ。

 冬季の収量をどう安定させるかなど課題は多いが、センターの高橋彰主任は「官民でタッグを組んで前に進めていきたい」と話す。問い合わせは同センター(048・969・0120)へ。(加藤真太郎)