問題のある盛り土329カ所、うち5カ所は住宅被害の懸念 県内調査

藤谷和広、上沢博之、三嶋伸一
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 【千葉】静岡県熱海市で昨年7月に発生した土石流災害を受け、千葉県は県内の盛り土を点検した結果を公表した。対象の2898カ所のうち、災害対策が不十分などの問題があった盛り土が329カ所。なかでも5カ所については崩落した場合に周辺の住宅などへの被害が懸念され、住民からも不安の声があがっている。(藤谷和広、上沢博之、三嶋伸一)

 亀山湖にほど近い君津市豊田旧野中。集落を囲む山林の一角に、土砂が最大高さ13メートルまで盛られている。昨年1月ごろ、地元住民から「ダンプが出入りしている」と連絡があり、市が盛り土を確認。一部は土砂災害警戒区域内に及ぶ。

 この土地は県が1986年に林地開発許可を出したが、工事は中断していた。県と市は昨年10月ごろ、盛り土の一部に割れ目を発見し、応急措置としてブルーシートを設置した。開発業者は行政指導に応じていないという。

 県は、「ただちに崩落する危険はない」(森林課)としているが、地元住民は「最近は思いもよらない災害が多い。一刻も早くなんとかしてほしい」と話す。

 実際に事故が起きた現場もある。多古町南玉造では昨年6月、住宅近くの盛り土が崩落。町などによると、重機で現場を整地していた土木業者の作業員が負傷し、土砂は県道をふさいだ。以後、近くに住む女性は夜間に宿泊施設に避難する生活を余儀なくされている。町は今年度から安全対策のための調査を始める。

 また、同町出沼には排水機能が不十分な盛り土があり、豪雨などの際に雨水が周囲にあふれ、下流の住宅や町道に流れ込む恐れがあるという。町は業者に指導しているが、「対応は不十分で改善が見られない」(担当者)としている。

 旭市行内(ぎょうじ)にも問題を抱えた盛り土があり、市によると、約4千平方メートルの農地に高さ12メートルほど積み上がっている。県と市は、無許可で土砂を運びこんでいた茨城県内の関係者に行政指導をしてきたが、聞き入れられなかったという。周辺には畑のほか事業所もあり、市は撤去を求め続ける方針だ。

 これら4カ所のほか、市原市上高根でも周辺への被害が懸念される盛り土が確認されている。

     ◇

 今回の点検は、国の方針に基づき、災害防止措置や廃棄物の投棄など5項目について実施された。県内では、住宅などへの被害が懸念される5カ所の盛り土のほか、許可や届け出などの手続きがとられていないなど問題のある盛り土が、合計329カ所見つかった。

 政府は3月、住宅などに被害が出る区域での盛り土を知事の許可制にし、罰則も強化する改正案をまとめた。ただ、すでに問題がある盛り土の改善は、土地の所有者や開発業者が対策をとることが基本。今でも行政指導に応じない業者がいるように、当事者任せでは解決までの道のりが遠いケースも想定される。熱海市では不適切な盛り土が、甚大な被害を誘発した。

 県は、「各法令に基づいて指導を行い、必要に応じて詳細な調査を実施する」としており、行政指導に応じない場合は、行政処分を検討する。さらに、「危険が迫ってきたら行政代執行もありうる」(担当者)ともしている。

盛り土の点検の結果(県内2898カ所が対象)

◎問題がある盛り土(点検項目の重複除く)【329カ所】

そのうち

○崩落により周辺の住宅や公共施設への被害が懸念される【5カ所】

○許可・届け出などの手続きがとられていなかった【146カ所】

○手続き内容と現地の状況に相違があった【170カ所】

○必要な災害防止措置が確認できなかった【31カ所】

○廃棄物の投棄などが確認された【6カ所】