独メルクが掛川に大規模投資 雇用、地域活性化に期待も

大平要
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 ドイツの化学メーカー「メルク」が、静岡事業所(掛川市)への大きな投資を発表した。2025年までに1億ユーロ(約138億円)を投じ、研究開発や生産の能力を引き上げる。地元経済への波及に期待も高まる。

 メルクの日本法人「メルクエレクトロニクス」は、静岡事業所で、スマートフォンや自動運転装置など様々な電子製品に使う半導体の多くに欠かせない化学材料をつくっている。敷地内にはオフィス棟と製造工場(プラント)のほか、研究、開発のためのクリーンルームが複数、並んでいる。

 計画では、この敷地内に新たな工場を建設して生産能力を5割高め、研究開発のための設備も増強する。コロナ禍で起きた半導体不足や、収束後も続くと予想されるデジタル化への対応のためだ。

 独メルクのエレクトロニクス事業部門のカイ・ベックマンCEO(最高経営責任者)は「日本(静岡)は長年、技術革新の場として、メルクを支えてきた」と話す。事業所を訪問するたび、チームとしての能力の高さや、従業員一人ひとりが持つ責任感に感銘を受けたという。

 日本国内には、良質な原料調達先や、半導体を使うメーカーも多い。育んできた協力関係を使い、新しい製品の開発を強化する狙いもある。

 設備投資に合わせ、従業員も現在の250人から、280人程度に増やす方針だ。静岡事業所の小島一弘所長は、主に地元から採用するとし「今後の(半導体市場の)動向によっては、300人まで上ぶれることも考えている」と話す。

 地域との関わりを増やす活動にも力を入れる。昨年1月、約2千万ユーロを投じて建てた「セントラルオフィス」。殺風景な建物が並ぶ中で、カラフルな内装や、欧州風の前庭が際立つ。

 オフィスとしても最新の設備を備えるが、地域との交流も狙って設計された。コロナ禍で実現していないが、「映像や実物を使った社会科見学会などを計画している」(小島所長)という。掛川市の久保田崇市長は「研究開発部門の誘致は主要政策で、規模拡大は大変、喜ばしいことだ。地域経済の活性化と雇用創出に貢献頂ける」と期待する。(大平要)

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 メルク 1668年創業のドイツの化学メーカー。医療分野に強く「ヘルスケア」「ライフサイエンス」「エレクトロニクス」の3部門がある。2021年の売上高は197億ユーロ。静岡事業所は1984年開設で、エレクトロニクス部門の中核拠点に位置づけられている。