野沢温泉村で小水力発電所、10年越しで完成

遠藤和希
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 【長野】野沢温泉村を流れるまくね川の水を利用した小水力発電所「まくね川小水力発電所」が稼働を始めた。2011年の東日本大震災の翌年に再生可能エネルギーの活用を目指すビジョンを、村が掲げて10年。富井俊雄村長は「村民で議論しながらエネルギー問題を考えていきたい」と話している。

 同発電所で3月30日にあった落成・開通式で、富井村長は「ようやく第一歩がきれた」と語った。村は12年10月に「地域新エネルギービジョン」を策定。東京電力福島第一原発事故や、事故後の化石燃料の高騰などを受け、水力や太陽光、温泉熱などの再生可能エネルギーの有効活用を目指し、実証実験や事業を実施するとしていた。

 その後、村で検討を進めた結果、冬季の降雪や地形などを考慮すると、安定した発電やコスト面から太陽光やバイオマス発電は適していないと判断。温泉熱も観光を優先するという観点から現実的ではなかった。

 そこで、まくね川から取水し発電する小水力発電所の整備を進めた。村内の調整や送水管をどこに通すかといった基本設計の変更などで時間がかかったが、このほど施設が完成した。

 発電所は、農業用水路であるまくね川から稲作に影響を及ぼさない範囲で取水。発電量を安定させるため、川沿いや農道を活用した全長約950メートルの送水管を設置し、約70メートルの落差を利用して水車を回し発電する。最大出力は97キロワットで、年間発電量は598メガワット時を見込む。国や県の補助を活用し、総事業費3億5千万円のうち村が約1億1千万円を負担する。

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を活用し、中部電力への売電で年2千万円程度の収益を想定し、下水処理場の電気代などに充てる。発電状況は村ホームページや役場入り口付近のモニターで常時確認できる。

 今後、村内の野沢温泉スキー場近くの本沢川でも水力発電の導入ができないか調査を進めている。

 県によると、FIT認定を受けている水力発電施設は県内に71施設(21年9月時点)あり、全国的にも多いという。(遠藤和希)