まばらな観光客「来てもいいのかな」 知床事故取材で見たウトロの港

有料会員記事

豊島鉄博、比嘉展玖
[PR]

 「シカが出るから気をつけてくださいね」。カウンター越しに女性店員に言われた。

 「『ひきそうになった』と、2日連続でお客さんから連絡がありました」とも言われた。明るい口調だったが冗談ではないと理解して、その店で借りた濃紺のN-BOXに乗り、ウトロを目指した。

 大型連休後半の5日。観光船沈没事故の取材に加わるため、勤務地の福岡市を飛行機で出発し、羽田で乗り継ぎ、4時間後の午後7時に北海道・女満別空港に着いた。動物の気配に気をつけながら、直線ばかりの夜道を走る。山道を経て、途中から左手に漆黒の海を見ながらの運転になった。「オシンコシンの滝」や「チャシコツ崎」を過ぎ、見えてきた港町で止まった。女満別を出て1時間半、「知床世界遺産センター」近くにある7階建てのホテルに入った。

 観光船事故の取材で福岡から現地入りした記者が見たウトロの町の様子を伝えます。連休を利用して訪れた観光客の姿もありました。記事後半では、世界遺産登録の前に知床が観光地へ変わるきっかけとなった出来事も伝えます。

 朝、初めて町の姿を見た。国道が海沿いに西から東へ走り、それと交差する形で海に突き出た波止場方向に道が1本延びていた。ホテルから歩いて3分ほど、その道沿いに小型観光船の事務所が3軒あった。うち1軒が沈没した「KAZUⅠ(カズワン)」の運航会社だった。

 カア、カア、カア。高さ15メートルほどの大岩の上でカモメが群れをなしている。「ゴジラ岩」だ。名前の通り、シルエットがそっくりで、町の観光名所にもなっている。近くには、まんじゅうのような形の「オロンコ岩」やピラミッド型の「三角岩」もある。“ゴジラ”のしっぽの先近く、海のそばの「ウトロ漁協婦人部食堂」を訪ねた。

 当然、事故の影響があるのだろうが、大型連休中なのに、街に観光客の姿はまばら。それでも、昼食時になると婦人部食堂には数人の列ができていた。イクラ、サーモンの漬け、サケのほぐし身が乗った「三種丼」(税込み2200円)が人気メニューだった。

 来店客に話を聞いた。

 兵庫県からカップルで北海道…

この記事は有料会員記事です。残り1126文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【7/11〆切】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら