「基地より経済」が多かった沖縄世論調査 前副知事に背景を聞いた

写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
[PR]

 沖縄県の最重要課題は「経済振興」で、本土との格差で最も問題なのは「所得」――。沖縄の日本復帰50年を受け、朝日新聞社が沖縄タイムス、琉球朝日放送と合同で3~4月に行った県民対象の世論調査(郵送)で、基地問題よりも経済を重視する回答が目立ちました。調査結果から何が読み取れ、背景には何があるのか。2021年3月まで沖縄県の副知事を務めた富川盛武・沖縄国際大名誉教授(地域経済論)に聞きました。

――「沖縄県の最重要課題」を尋ねた質問で、最多は「経済振興」38%で、「基地問題」26%、「教育・福祉などの充実」19%と続きました。調査の違いで単純比較はできませんが、2017年調査(電話)では「基地問題」33%、「経済振興」19%で、変化があるように見えます。

 「新型コロナ禍で大打撃を受けた経済や家計への不安と、県民の思いが踏みにじられてきた基地問題への諦観(ていかん)の表れではないか」

 「1人当たり県民所得は全国最下位が続き、子供の貧困も厳しい。沖縄は島嶼(とうしょ)社会でマーケットが小さく、資本も少なく、中小企業が多い。その中で県民所得を上げるのは至難の業だが、コロナ禍前の沖縄は観光を中心に景況が良く、所得も伸びていた。積年の課題である所得に改善が見えた中でのコロナ禍。その打撃は大きく、経済の向上を望む声は大きいのだろう」

 「一方で、米軍普天間飛行場宜野湾市)の移設予定先の名護市辺野古では、埋め立てが進んでいる。7割が埋め立てに反対した県民投票(2019年)をはじめ、沖縄が示した多くの民意が一顧だにされない形でだ」

 「知事と総理の会談があっても、言いたいことを言い合うだけで、解決が見えない。県民の思いが届かない、無視されるという歴史が、沖縄では何度も繰り返されてきた。コロナ禍やウクライナ有事の不安も重なる中、仕方がなく、今は経済振興を取るしかない、という県民の思いがうかがえる」

――米軍基地問題で、国が沖縄の意見をどの程度聞いていると思うか尋ねたところ、「聞いていない」という回答が「あまり」(44%)、「まったく」(30%)をあわせて74%。岸田内閣支持の人でも61%、自民支持層でも51%がそれぞれ「国は聞いていない」を選んでいます。

 「政府の政策が、地元の意見…

この記事は有料会員記事です。残り2665文字有料会員になると続きをお読みいただけます。