斎藤八段のとどめの手 投了まで24分、渡辺名人「きれいな手だな」

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村瀬信也

3連覇を目指す渡辺明名人(38)=棋王と合わせ二冠=に斎藤慎太郎八段(29)が挑戦する第80期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第3局は7、8日、福岡市のアゴーラ福岡山の上ホテル&スパで指され、斎藤が134手で勝った。将棋担当の村瀬信也記者が終局後の対局者取材を元に、対局の裏側を描く。

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 検討室は静まりかえっていた。

 8日夜、斎藤が△3三桂(図1)と指した局面で渡辺の手が止まった。物思いにふけっているのか、時折、虚空を見上げて目を閉じる。盤上の最善手を追い求めているようには見えない。検討用の駒は既に片付けられ、副立会人の豊川孝弘七段(55)は腕組みをしながら両対局者が映るモニターを見つめている。

 午後9時5分、24分の考慮の末、渡辺は次の手を指さずに投了を告げた。報道陣が両者を取り囲む。斎藤は「ずっと苦しい将棋だった」と述べた。

 渡辺が2連勝して迎えた本局。先にリードを奪ったのは、またしても渡辺だった。角換わりの出だしから機敏に仕掛け、一転して8筋に飛車を転回。事前の研究通りの進行だったというが、日ごろの研究の深さを改めて印象づけた。

 斎藤は意表を突かれた。「渡辺名人があまり指していない将棋だったので。(序盤でリードを許した)第1局、第2局の時より驚きました」。

 1時間を超す長考を強いられ…

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