追い風だけではない急な円安 きょうトヨタ決算、三つの注目ポイント

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近藤郷平、奈良部健
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 トヨタ自動車は11日、2022年3月期決算を発表する。この間の世界販売は過去2番目に高い水準だった。想定より円安が進んだことで輸出の採算が良くなり、業績が押し上げられそうだ。過去最高の純利益となり、国内のメーカーとして初めて営業利益が「3兆円を超える」(アナリスト)との見方もある。

 注目されるのは、急ピッチで進む円安が輸出企業の代表格であるトヨタにどんな影響を及ぼすのかだ。日本円ベースの利益が膨らむ一方で、原材料価格の高騰が重しになり、トヨタに先立って発表されたグループ企業の決算では、円安への警戒感も高まっていた。

 トヨタ決算のポイントを大きく三つにまとめた。

1.円安に原材料高、影響は

 トヨタは国内で雇用や技術を維持する目安として、「国内生産年間300万台体制」を掲げている。

 東日本大震災後の1ドル=70円台の超円高に見舞われた時でも、豊田章男社長が、「石にかじりついても日本のものづくりを強化する」と発言。今の局面で「円安効果」が大きいのは、海外シフトを進めてきたホンダ日産自動車などのライバルに比べ、国内生産を重視し続けてきたからでもある。

 国内生産の約6割は輸出で、海外販売を円換算したときのもうけも膨らむ。

 トヨタが2月に発表した昨年4~12月期決算では、営業利益が2兆5318億円、純利益が2兆3162億円と過去最高となった。前年より5円ほど円安ドル高となるなど、為替の変動が営業利益を4450億円押し上げた。

 為替は3月時点で1ドル=120円を超え、トヨタの想定よりさらに円安が進んだ。「円安効果」が一段と膨らんでいる可能性が高い。

 もっとも、円安を単純には喜べない、過去とは異なる事情もある。

 まず、鉄やアルミといった原材料価格の高騰が続いている。トヨタは2月時点で、原材料価格の高騰は通期で前年より6千億円超の負担増となると見込んでいた。「資材高騰は過去にないスピードだ。急に下がることはなく深刻な問題だ」とトヨタ関係者は懸念を強める。

 さらに、ウクライナ侵攻を契機に、ロシアへの経済制裁が始まった。ロシアは自動車部品に使う希少資源などの供給国であり、原材料価格の高騰に拍車がかかっている。

 4月に1ドル=130円台を突破するなど急ピッチで進む円安は、海外から調達する部品や原材料のコスト増につながる。トヨタグループの愛知製鋼の藤岡高広社長は決算会見で、「世の中の潮目がかわった」と危機感をあらわにした。円安についても「材料高騰の大きな要因の一つ。非常にインパクトがでかい」と語った。

 愛知製鋼では22年3月期、鉄スクラップなどの調達費用が営業利益を380億円下押しした。営業利益は約2割減、純利益は約7割減った。価格転嫁が追いついておらず、23年3月期は純損益を「ゼロ」と見込む。

 軸受け製品などを手がけるトヨタ系部品メーカーの大豊工業は「合理的な算出が困難」として、23年3月期の業績予想の公表を見送った。杉原功一社長は、「輸出のプラス以上に、輸入での原材料、エネルギー(価格への)のインパクトの方が強い」と嘆く。

 こうした状況は、トヨタの決算にどのような影響を及ぼすのか。

2.供給網への影響、見方は

 いったん部品メーカーが負う…

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