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京大病院に関西初の「えん下障害」治療の専門センター

北村有樹子
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 京都大学病院(京都市左京区)は4月、関西の大学病院で初となる「摂食嚥下(えんげ)診療センター」を開設した。高齢や病気で、食べ物をそしゃくし飲み込む機能が低下する「嚥下障害」の治療に、複数の診療科や、様々な職種の専門家が連携して治療に対応する。

 嚥下障害は、脳梗塞(のうこうそく)などの脳血管障害パーキンソン病など神経の病気、認知症、加齢による筋力の低下などにより、誰にでも起こりえる。軽度の場合には、食事の際に飲み込みにくさを感じたり、軽くむせたりする程度だが、悪くなると食べ物が気管に入る「誤嚥(ごえん)」を起こしたりする。

 飲み込む機能が低下した状態が続くと、誤嚥性肺炎や、口から食べられずにエネルギーや、たんぱく質が不足し心身の機能が低下した「フレイル(虚弱)」、全身の筋肉が弱る「サルコペニア」につながるリスクもある。センターによると、誤嚥性肺炎は一昨年、国内の死因の6位。高齢者の肺炎の7~9割を占めているとも言われる。

 同センターが対象とするのは、「高度の嚥下障害」がある患者。誤嚥性肺炎を複数回繰り返している、進行性の神経筋疾患などで嚥下機能の障害がある、口腔(こうくう)がんや咽頭(いんとう)がんの治療などで食事が困難なケースなどだ。診療を受けるには、かかりつけ医などからの紹介状が必要となる。

 豊富な検査手段や治療の選択肢を準備し、治療には、耳鼻咽喉(いんこう)科・頭頸部(とうけいぶ)外科、リハビリテーション科、歯科口腔外科など複数の診療科が連携して対応。基本的な内視鏡検査や造影検査に加え、嚥下圧を測定する特殊検査もできる。リハビリで改善しない重度の場合は、手術にも対応するという。管理栄養士や糖尿病内分泌・栄養内科による、栄養面のサポートも可能だ。

 同様のセンターは、東北や首都圏、九州地方など全国13の大学病院にあるが、関西では初めて。大森孝一センター長は「地域の嚥下障害の治療の拠点として充実した診療を目指していきたい」と話している。

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 コロナ禍で外出や人と話す機会が減り、体力が低下してしまった高齢者も多い。口周りの筋力が低下した状態を放置すると嚥下障害につながりかねない。国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)は、体の機能低下を防ぐために、在宅で取り組める運動や活動をまとめた手引きを作成し、公開している。

 手引き「摂食嚥下(えんげ)改善パック」ではいくつかの体操を紹介。嚥下体操は「食べる前に口と体を準備する」のが目的だ。鼻から息をしっかり吸う・ゆっくり口から吐く▽肩を上にあげる・下におろす▽首を回す・左右に倒す▽両手を頭上で組んで体幹を伸ばす・左右に倒す▽頰を膨らませ・引く▽舌で左右の口角に触る▽舌を出す・引く――という七つの動作からなる。

 顔や首の緊張をほぐし、唇や舌を動かすことで唾液(だえき)が出やすくなるという。手引きはPDFファイル(https://www.ncgg.go.jp/hospital/guide/data/data_seshoku.pdf別ウインドウで開きます)で見られる。(北村有樹子)