ウクライナの「簡単」加盟目指す マクロン氏、新欧州組織を提唱

ウクライナ情勢

パリ=疋田多揚
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 フランスのマクロン大統領は9日、欧州連合(EU)への早期加盟を求めるウクライナなどの非加盟国に対し、EUとは別の「欧州政治共同体」という枠組みを作って協力関係を築くべきだとの考えを示した。

 同日、欧州議会での演説で提案し、その後の記者会見で説明を加えた。マクロン氏は、ウクライナのEU加盟について「加盟基準を下げない限り、何十年もかかるだろう」と指摘。一方、未加盟のまま待たせ続ければ「我々と同じ価値観の土台を持つ隣国を絶望させるリスクを取ることになる」と述べ、より簡単に加盟できる新組織を作って欧州の陣営に組み込む必要があると訴えた。EUの行政トップ、フォンデアライエン欧州委員長は同日、マクロン氏との共同会見で、ウクライナの課題として「汚職改革」を進める必要があるとの認識を示した。

 マクロン氏は「欧州政治共同体」について、欧州の民主主義国同士で、安全保障やエネルギー供給、インフラや投資、人の移動といったテーマで協力を深めあうことが目的だと説明。詳しい機能は明らかにしなかった。ただ、EU加盟国や、早期加盟を望む国々がこうした枠組みに賛成するかは不明だ。

 EUは域内の安定を目指して中東欧への拡大を続けてきたが、マクロン氏は意思決定に時間がかかることや、既存加盟国の財政負担が増えることを理由に、これ以上の拡大には慎重な姿勢をとっている。(パリ=疋田多揚)

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    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2022年5月11日8時39分 投稿
    【視点】

    フォンデアライエン欧州委員長が2月27日にウクライナについて、「我々の仲間であり、EUに加盟してほしい」と発言したのには驚いたが、今回マクロン大統領が表明した新構想にも驚いた。 ロシアによる軍事侵攻が始まってから、EUはにわかにウクライナ

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