知床事故の惨状、物語る場所 当時といまをつなぐものは
佐々木洋輔、石垣明真
北海道・知床半島で、26人を乗せた観光船が沈没した事故。事故の惨状を物語る場所を訪れ、当時といまをつないだ。
ゴールデンウィークが明けた9日。献花する人の往来が絶えなかったえんじ色の屋根の体育館は、曇天の下でひっそりとしていた。
斜里町の中心部にある町営体育館は、ウトロ漁港を約30キロ南西に下ったところに位置する。残雪の白と山肌の青のコントラストが美しい斜里岳を望むこの場所を、ひとつの事故が一変させた。
知床沖で沈没した観光船は、ウトロ漁港を出港したまま行方不明になった。翌日、その港から漁船が捜索に向かった。見つかった遺体は体育館に運ばれ、対策本部は町のウトロ支所に設けられた。いずれも、地元にとってゆかりの場だ。この場所で何が起こっていたのか。
「顔を見た瞬間、名前をさけぶご家族もいらした」
北雅裕副町長は4月25日…