「大臣の資質があるか疑問」と言ったら侮辱罪に? 厳罰化めぐり激論

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田内康介、村上友里
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 ネットでの誹謗(ひぼう)中傷が深刻化する中、侮辱罪を厳罰化する刑法改正案の衆院での審議が山場を迎えている。今国会で成立すれば今夏に施行される見通しだが、野党の一部や日本弁護士連合会表現の自由を脅かすとして反対している。

 侮辱罪の対象は「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱」する行為で、現行の法定刑は刑法で最も軽い「拘留(30日未満)または科料(1万円未満)」。改正案は罪の構成要件は変えず、法定刑に「1年以下の懲役・禁錮か30万円以下の罰金」を加えた。公訴時効も1年から3年に延びる。

「バカ」は侮辱罪 「不倫している」は何罪?

 よく似た罪の名誉毀損(きそん)罪は公然と「事実を摘示」した場合に適用される。その「事実」がウソか本当かに関わらず、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金となる。

 一般的に「バカ」「無能」などの暴言には侮辱罪、「不倫している」「前科がある」などと「事実」まで示したら名誉毀損罪に当てはまる場合がある。

 2016~20年に侮辱罪のみで刑事処分を受けた人は計120人。ネット中傷が目立ち、「便器みたいな顔」「変質者」などと書き込んでいた例があった。

きっかけは木村花さんへの中傷

 厳罰化を求める声が高まるきっかけとなったのは、フジテレビの恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演したプロレスラー木村花さん(当時22)が、SNSで中傷を受けて20年に自死した事件だった。ツイッターに「生きてる価値あるのかね」「死ねや、くそが」などと匿名で書き込んだ2人が侮辱容疑で書類送検されたが、科料9千円の略式命令にとどまった。

 法務省は、厳罰化による抑止効果を訴え、今国会に刑法改正案を提出。4月下旬から衆院法務委員会で審議が始まった。

 「誹謗中傷を数日受けただけで心は壊される。家族が理不尽に命を奪われた時、厳しい法律を望まない理由はあるのでしょうか」。26日、参考人として出席した木村さんの母・響子さんは厳罰化を支持した。

 一方、法制審議会のメンバーだった連合(日本労働組合総連合会)の神津里季生・前会長は、抑止策の必要性は認めつつ「量刑を重くすれば多くの被害者が救われるという簡単な話とは到底思えない」と指摘した。

 「国家公安委員長の資質があるのか、非常に疑問だ」。街頭演説の会場でこう発言したら侮辱罪に当たるのか――。

警察を管理する国家公安委員長の答えは?

 4月27日の衆院法務委では、立憲民主党階猛議員が、警察を管理する二之湯智・国家公安委員長に問うた。

 二之湯氏は「侮辱罪を構成す…

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