アメリカ世生き抜いた人々の生活の味 異なる戦後を歩んだ沖縄と本土

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沖縄季評 山本章子・琉球大准教授

 沖縄にはストゥーと呼ばれる料理がある。お店では出てこないので、観光客にはほとんど知られていない。家庭料理だが、30代以下の沖縄出身者は食べたことのない人が多いようだ。沖縄を旅行した個人のブログで「メイフェーアなどのビーフシチュー缶」と紹介されていることもあるが、半分正解で半分誤りだ。

 缶詰のビーフシチューに野菜と島豆腐を加えて煮たものを、ご飯にかけたのがストゥーだ。アメリカ人が発音した「シチュー」を耳で覚えた名称だろう。野菜はナーベーラー(へちま)が多いようだが、チンゲンサイの家庭もあり色々だ。ポーク(ランチョンミート)を足すこともある。そして、島豆腐は必ず入れる。ビーフシチューに島豆腐。初めて見たときは衝撃的だった。

やまもと・あきこ 1979年生まれ。琉球大学准教授。専攻は国際政治史。「日米地位協定」で石橋湛山賞を受賞した。

 ストゥーを口に入れると、「アメリカ世(ゆー)」(1945年から72年までの米軍占領統治)を生きぬいた沖縄の人々の生活の味がする。沖縄戦まで、人々は主に農業と漁業で暮らしを立てていた。だが芋や野菜、豆腐、魚、海藻を食べる生活は米軍の上陸と占領で一変。畑も漁場も基地に奪われ、米軍のために働くしかなくなり、食糧難改善のため市場に放出されたCレーション(階級の低い米兵の携行食)がごちそうになる。戦前の食生活と米軍の携行食が混じり合う中でストゥーが生まれた。

 ストゥーを知らない沖縄の若…

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