津波被害の仏像・三尊像、寄付で修復 全国で数体、貴重な良運作?

東野真和
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 東日本大震災の津波をかぶった江戸時代の仏像が修復され、元あった大槌町のほこらに戻された。NPO法人「まちづくり・ぐるっとおおつち」が、寄付を募って修復費用を工面したもので、今後は観光資源として活用するという。

 仏像は不動明王三尊像で、高さ約45センチのものが1体と約26センチのものが2体ある。町内の民家のほこらに安置されていたが、津波に襲われ、装身具や手がなくなったり、塗料がはがれたりしていた。

 元県立博物館学芸員で盛岡農業高校の佐々木勝宏教諭(60)によると、三井越後屋三越の前身)とつながりのあった仏師・安岡良運作の不動三尊像が19世紀初め、大槌に運ばれたとの記述が県内にある寺の古文書に残っており、良運作の可能性が高いという。

 良運が作った仏像は、全国で数体しか確認されていないものの、当時水産業で栄えた大槌では、法然上人像など3体がすでに見つかっている。

 そのため、「ぐるっと」は昨春、良運作の仏像がある寺や神社をめぐる観光コースを作ろうと、修復費用をクラウドファンディングで募ったところ、町民を中心に目標を上回る147万円が集まった。

 今後、修復作業を手がけた奥州市の那須川善男さん(48)がレプリカを制作し、御社地(おしゃち)天満宮に展示する予定という。東野真和

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