避難の外国人をどう扱うべきか ウクライナ問題が突きつける課題とは

ウクライナ情勢

堤恭太
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 戦禍のウクライナを逃れてきた人々への支援の輪が広がり、埼玉県内の自治体も続々と住居の提供などを打ち出している。一方で、県内に多く住むクルド人は、迫害を受けて祖国を逃れてきたが、公的支援は乏しい。日本に避難してきた外国人間の差が、浮き彫りになっている。

 戸田市役所で先月下旬、市と日本リサイクルソリューション(本社・戸田市)との間で協定が結ばれた。市が用意したウクライナ避難民用の住宅6戸に、同社が家電や家具などを無償で貸与する。菅原文仁市長は「避難民がいつ来てもすぐに安心して住めるようになった」というが、10日時点で、住宅の利用予定はないという。

 市は住宅提供だけでなく、避難民支援対策連絡会議を設置するなど手厚い支援態勢を敷いた。今月末には市民の理解を深めるため、ウクライナ情勢に関する市民講座も開く。

 ウクライナ避難民を対象にした支援は他の自治体にも広がっている。深谷市行田市などが住宅の確保や物資の提供、相談窓口の開設をしている。

 一方で、戸田市に隣接する川口市や蕨市には、迫害から逃れてきたクルド人が約2千人いるとされる。在留資格がなく、出入国在留管理庁から一時的に釈放されている仮放免の人も多い。

 川口市に住む30代のクルド人の男性は、5年前から難民申請をしているが、いまだに認められない。働くことは許されず、医療保険にも入れず、県外への移動も禁止されている。自治体からの支援もない。入管の収容におびえながら、他人名義で家を借りて妻と子ども3人と何とか暮らしている。

 男性は、戦禍から逃れてきたウクライナ避難民への支援は必要だと認めつつ、「彼らと私たちは立場が違うのかもしれない。差別とは言わないが……」と言葉を濁す。

 政府はウクライナから逃れてきた人たちを「避難民」と位置づけ、クルド人やアフガニスタン人ら「難民」とは区別している。避難民は90日間の短期滞在の在留資格で入国させ、1年間働ける特定活動への切り替えを認め、その更新も考慮するなど、前例のない対応をしている。

 菅原市長はウクライナ避難民について「国が支援を打ち出したのに、地方自治体が何かしないのは不誠実だ」と説明する一方、「市が難民にこれだけの支援をした記憶はない」とも話す。

 クルド人支援団体「在日クルド人と共に」の温井立央代表理事もまた、複雑な思いを抱えている。ウクライナ避難民の支援には異を唱えないが、「同じように祖国を追われたクルド人らが明日をも知れない状態で暮らしていることも、考えてほしい」と訴える。

 そのうえでウクライナ避難民の今後を危惧する。「数年たって避難民が日本に永住したいといったら、どうするのか。ウクライナ人はOKでクルド人はだめなのか。そんなことはできないと思う。国は難民問題を考え直す時ではないか」と指摘している。(堤恭太)