「生活保護」って何? 暮らしを最終的に守ってくれる制度とは

人生100年

久永隆一
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 人生には思いも寄らない事態が起きることがあります。すべてを自力で乗り切るのは難しいかもしれません。暮らしていくのに困ったとき、最終的に守ってくれる仕組みが「生活保護」。必ず知っておきたい制度の一つです。その内容を紹介します。

 Q 生活保護って、どんなもの?

 A 失業や低年金、心身の病気、離婚……。自分の努力だけでは、日々の暮らしに必要なお金を用意しきれないことだってあるよね。生活苦にある人を助け、人生を立て直せるように国が用意した仕組みだよ。

 Q 国は何をしてくれるの?

 A 例えば生活保護費というお金をくれる。国民一人ひとりには、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」があると憲法25条で保障されている。働いて得たお金や年金、手当の金額を合計しても、その最低限の生活水準に届かないと差額分を保護費として受けとれるんだ。

 Q 「最低限の生活水準」って難しい言葉じゃ分からないよ。いくらなの?

 A 金額は、世帯の人数や地域などによって決まってくるよ。厚生労働省の資料をもとに、一番高い東京23区内(2021年4月現在)の生活扶助費を例に説明すると次のようになっている。カッコ内の数字は金額を出すための仮定の年齢だよ。

 ▽高齢者の単身世帯(68歳)=7万7980円▽夫婦と子1人の世帯(33歳、29歳、4歳)=15万8760円▽母子世帯(30歳、4歳、2歳)=19万550円

 Q お金をくれるってことなんだね。

 A いや、正確に言うとお金だけではないよ。病院に行ったり、介護を受けたりもできる。こういった場合は、お金ではなくて、必要なサービスを受け取る形だね。支援の種類は八つに分かれているよ。

 Q いまはどれくらいの人が利用しているの?

 A 厚労省の調査によると20年度は1カ月平均の利用者は205万2114人。世帯数で言い換えると、163万6959世帯だった。日本の全世帯(約5570万世帯)の約3%にあたるね。

 Q 不正受給があるって聞いたことがあるよ。

 A 厚労省が公表しているデータによると、20年度の不正受給は3万2090件。働いて得た収入を申告しなかった例が半数を占めたよ。

 Q それって多いの?少ないの?

 A 20年度の1カ月平均の利用世帯数を分母にすると、1・96%になる。残り98%の世帯は何の問題もない。不正受給自体も近年、減少傾向にあるよ。2%に満たない問題をクローズアップしすぎると、コロナ禍でも問題になったように本当に必要とする人が利用しづらくなる副作用が生まれるから注意したいね。

 Q 利用したい時、どこに相談したらいいの?

 A 全国に1250カ所(22年4月現在)ある福祉事務所で申請できるよ。国は生活保護の利用を「国民の権利」と言っている。利用するには収入以外にも、預貯金のような資産の条件もクリアする必要がある。詳しいことは福祉事務所の窓口の人に聞いてみるといいよ。

 Q 困ったら、とにかく申請すればいいんだね。

 A 残念なことに、国民の権利であることが浸透していると言えないようなことも起きている。地域によっては福祉事務所の窓口で、申請を妨害するような「水際作戦」と呼ばれる不適切な対応もみられる。また、申請した人の親族に対して、援助できないか行政が確認する「扶養照会」という手続きを取ることで、申請そのものをためらうケースもあるのが実態なんだ。(久永隆一)

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