会(お)うて笑(わろ)て買(こ)うてや ちっちゃいルビに愛がある
河合真美江
まだまだ勝手に関西遺産
問題です。太字の漢字をどう読みますか。ルビをふって下さい。
①高価うつくなあ
②エエのん違う?
③女房逃げた
簡単過ぎるって? 答えは……
①たこ②ちや③よめはん
どれも田辺聖子さんの短編集「うつつを抜かして」(文春文庫)に出てくる漢字のルビ。関東育ちの私にはルビが大阪弁の先生なんです。
田辺さんの母校、大阪樟蔭女子大学にある田辺聖子文学館で所蔵する直筆原稿を見せてもらった。
学芸員の住友元美さんが調べてくれたところ、「しんこ細工の猿や雉」などで沢山(ようけ)、「十七のころ」では澤山(ぎやうさん)と違う読み方だったり、「鏡をみてはいけません」の中で沢庵(おこうこ)、漬物(おこうこ)とあったり。「姥勝手」の中の神様(サン)も関西らしい。この作品では怪(け)っ体(たい)な、「大阪弁ちゃらんぽらん」では怪(け)ッ態(たい)な。なんと多彩な。
「ルビ一つで大阪の言葉の意…