使い捨てプラ削減、法施行が追い風 古米入り歯ブラシは商談急増

天野光一
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 スーパーで配られるフォークやホテルのアメニティー類といったプラスチック製品について、提供する企業に削減を求める「プラスチック資源循環促進法」。今春の施行を受け、愛媛県内の企業も対応を進めている。一方、プラスチック原料の削減につながる素材を使ったアメニティーを生産する企業には追い風が吹いている。

 スーパーのフジ(松山市)は直営94店で弁当などを販売した時に渡すスプーンやフォークなど4品目を木製か紙製に切り替えた。費用は木製の方がやや高かったが、全体的にはほぼ同価格におさまった。年間7トンの使い捨てプラスチックが削減されるという。

 フジ・リテイリングお客様サービス・品質管理推進室の月原文子室長は「同じ大きさと使い勝手が変わらないようにこだわった」。採用した品について社内で意見を聞くと「前の方がすくいやすく、ガツガツ食べられる感じだった」という声があったものの、おおむね「ナチュラルなデザインが素敵」と好評だったという。

 今治や道後など四国に七つのホテル(計1230室)を展開するJR四国ホテルズ(本社・高松市)は、4月から順次、歯ブラシ、カミソリなど4種のアメニティー類を、プラスチック原料を削減した製品に切り替えている。同社のこれまでの使い捨てプラスチック使用量は年間5~7トン。「宿泊客が求める質を維持しつつ、環境に配慮した。必要な費用はそれほど変化していない」と、同社の担当者は言う。

 一方、県内のホテルの中には「環境の大切さは分かっているが、コロナ禍による利用客減少で経営に打撃を受けて、対応する余裕がない」と話すところもあった。このホテルでは、法律の対象となる年間5トン以上の使い捨てプラスチックを使用していないため、まずは紙ストローを導入して、徐々に対象を広げていく方針だ。

 プラスチック製品の生産現場では、法律が追い風になっている会社もある。

 ホテル用のアメニティー生産などを手がけるSANYOホールディングス(愛媛県伊予市)は、食用に適さない古米を混ぜてプラスチック使用量を減らした歯ブラシがヒットしている。法施行の前後で数百件の商談がまとまったという。

 武内英治社長は「何度もやめようかと思った商品だった」と振り返る。

 15年ほど前に米を30%配合した商品を開発したが、受注は1件だけだった。東京五輪の開催が予定されていた2020年1月に商品を改良。米の配合量を35%に引き上げたほか、従来のプラスチックの倍以上する原料費を抑えるために、柄に穴を開けた。穴をスムーズに開けるために精密な金型も導入したという。それでも、コロナ禍もあって受注は伸びなかった。

 それが一転、法施行が決まってから続々と注文が入るようになった。武内社長は「これまでは、導入を決めるまでの動機が顧客になかったのかもしれない。将来的には生産量の3~4割が米配合製品になるのではないか」と期待している。(天野光一)

     ◇

 〈プラスチック資源循環促進法〉 小売業や飲食サービス業、宿泊業などに使い捨てプラスチック製品の削減を義務づける。スプーンやフォーク、ヘアブラシなど国が指定するプラスチック製品(12品目)を無料で年5トン以上配っている事業者には、削減の取り組みが不十分な場合、国が勧告や命令を出す。命令に従わなければ50万円以下の罰金を科す。

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