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産科ゼロの垂水市、出産・子育て支援へ鹿児島市の医療機関と連携

加治隼人
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 市内に産婦人科がない鹿児島県垂水市が、出産や子育ての環境を整えようと、鹿児島市を中心に総合病院などを経営する公益財団法人「慈愛会」と10日、包括連携協定を結んだ。6月にも慈愛会の医師らによる相談会などを垂水市で開き、将来は妊婦健診などの医療サービスの提供もめざす考えだ。

 垂水市(人口約1万4千人)によると、直近10年の出生数は2016年度まで80~100人前後だったが、17年度以降は50~70人程度に減少。市が子育てしやすい地域をめざす中、市民からは「産科をつくってほしい」といった声がある。

 市内には産婦人科などの分娩(ぶんべん)施設がなく、産前・産後の健診は保健所のみ。妊産婦は近隣の鹿屋市霧島市に通うのが現状だ。対岸の鹿児島市にフェリーで通院する人もおり、片道1時間前後の場合も少なくない。

 今回の協定に基づき、慈愛会が運営する今村総合病院などの医師、助産師らを垂水市内に派遣し、6月から相談会や講演会を開催。まずは子育てに関する専門知識の提供、不安の解消を図る。将来的には市内で健診や新生児訪問、産前・産後ケアなどの医療を提供できる仕組みの実現も視野に、両者で協議を進める。

 垂水市の尾脇雅弥市長は締結式で「安心して生み育てられる環境づくりに尽力し、同じ課題を持つ地方のモデルケースになれば」と期待を寄せた。

 県によると、産科医療は県内六つの周産期医療圏ごとに医師の確保やサービス体制の充実を図っている。一方、県内の全43市町村のうち23市町村は、分娩(ぶんべん)・健診を取り扱う医療機関がない。奄美群島など離島や大隅半島の自治体が目立つ。

 慈愛会の今村英仁理事長は「地方では特に医療機関数もどんどん減っている。医療を提供できないと安心な生活ができず、人口も減る。我々の役割も大きいと感じる」と話した。(加治隼人)