観光船の安全ルール見直しへ 通信や救命具は十分?有識者が議論開始

磯部征紀
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 北海道・知床半島沖で観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故を受け、国土交通省は11日、小型観光船の安全対策について議論する検討委員会の初会合を開いた。事故を検証し、再発防止に向けて小型観光船の安全対策をめぐるルールの見直しを進める。夏ごろの中間取りまとめを目指す予定だ。

 委員は、海事法や船舶工学、船員養成などの有識者ら計14人。地域事情も議論に反映させるため、知床半島で観光船事業を営む企業の社長も参加している。

 斉藤鉄夫・国交相は冒頭のあいさつで「痛ましい悲惨な事故を二度と起こさないよう徹底的な安全対策を議論する」と述べた。

 現地からリモートで参加した渡辺猛之副大臣は、被害者側の家族から2点の指摘があったと説明。一つは、事業者の運航管理体制がずさんだったのではないか、事業者に資格や能力があったのかという指摘で、もう一つは国の検査や監督が十分だったのかという指摘だったという。被害者の声を直接、伝えたいという意見もあったという。

 委員長に選ばれた山内弘隆・一橋大名誉教授は「再発防止のために何ができるのか。制度改正もそうだが、その実効性を上げていくという問題もある」と指摘した。

 今回の事故をめぐっては、天候悪化が予想されながら出航した判断のほか、通信設備や救命具、船長の経験が十分だったかが課題として指摘されている。

 検討委もこうした課題を踏まえ、出航の基準を定めた安全管理規程の実効性の確保や、船に備え付ける無線や救命具のあり方について議論する。

 船長になるために必要な経験や運航管理者の資質確保も検討。船舶検査の実効性を高める方策や、利用者に対する安全情報の提供、監査や行政処分のあり方についても話し合う。

 今後の議論の内容によって、検討事項は追加される見込みで、議論の結果をふまえ、具体的な制度改正を進める方針だ。(磯部征紀)