「失敗したら死ぬ覚悟でやっています」
競技では禁止されているバックフリップ(後方宙返り)。暗闇でスポットライトを浴びるリンクで豪快に決めてみせる。「コバヒロ」の真骨頂と言える技だ。
4月29日から5月5日まで(2日は休演)、コーセー新横浜スケートセンターで開催されたアイスショー「プリンスアイスワールド(PIW)」の横浜公演。
ファンから「コバヒロ」と愛されるのが小林宏一(36)だ。24人いるPIWのメンバーのうち、男性ライン(9人)のキャプテンを任されている。
PIWの正式メンバーになって13年目。横浜公演全12ステージを終えて、「お客さんとのコミュニケーションもどんどんできるし、僕らの見せ方も違ってくる。もっとお客さんを楽しませることができると思います。12回終わっても、次への反省点はありますね」。
次は、7月15日から18日に東京・ダイドードリンコアイスアリーナで行われる東京公演に向けて、メンバーとともに横浜公演での反省点を改善していくつもりだ。
PIWは1978年に開催された「VIVA! ICE WORLD」を前身とする国内で最も歴史のあるアイスショーだ。77年世界選手権で日本人初のメダリスト(銅)に輝いた佐野稔が中心となって始まった。
現在のPIWは「シンクロナイズドスケーティング」をベースにしながら、フィギュアの伝統や既成概念の枠を超えたエンターテインメントで、多くのファンを魅了している。
今、そのPIWを引っ張っているプロスケーターの一人が、小林だ。
現役時代の小林を思い起こす。
ダンサブルな演技力と豪快なジャンプ。トリプルアクセル(3回転半)までは試合に組み込み、練習では4回転はトーループとサルコーまで跳べていた。彼がリンクに上がるとパッと空気が変わり、その存在感は群を抜いていたのを覚えている。
その源泉の一つが、スケートと並行して小学6年から24歳まで続けてきた芸能活動にある。ファンにはよく知られていることだが、小林はジャニーズ事務所に所属し、ジャニーズJr.などで活動していた。
「母がダンスを習わせたかったらしくて、履歴書を事務所に送ったんです」
紅白歌合戦やコンサート、舞台でバックダンサーなどをこなしてきたという。「自分はローラーブレードができたので、けっこう重宝されましたね」と小林は笑う。
ジャニーズ時代は「忙しかったけど楽しかった」という。特に大きな糧となっているのは、KinKi Kidsの堂本光一さんがライフワークとして続けている舞台「SHOCK」に出演したことだという。
「前日の夜に帝国劇場で舞台に立って、翌日朝からスケートの朝練、学校……。プロのエンターテインメントの世界を経験できた。プロスケーターをしていますけど、ジャニーズでの経験がなければ今の僕はいない」
小林が今も大切にしている言葉がある。
「Show must go…
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