西九州新幹線 初めて佐賀県入り 武雄市出身の運転士「感無量」

長沢幹城、寿柳聡
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 9月23日の開業に向け走行試験が始まった西九州新幹線(武雄温泉―長崎)の車両が11日、初めて佐賀県内を走行した。新鳥栖までの整備方式は決まっておらず、武雄温泉で在来線に乗り換える「リレー方式」での開業だが、観光浮揚を期待する武雄、嬉野両市では駅で式典を行い、真新しい車両を出迎えた。

 西九州新幹線で使われるN700S「かもめ」は午前10時10分すぎ、嬉野市のJR嬉野温泉駅に続く線路に姿をみせた。途中、透明の防音壁が使われている場所があり、付近の沿道で約500人の市民が手旗を振り歓迎。ホームでも市内の児童や関係者ら約300人による歓迎式典があった。

 嬉野を鉄道車両が走るのは、塩田―嬉野間を大正から昭和初期の16年間走っていた「幻の鉄道」、肥前電気鉄道(1915年開業)が運行を止めた1931年以来、約90年ぶり。駅を見下ろす茶畑にも茶農家や近隣の人たちが集まり、ゆっくり進む車両を見守った。嬉野温泉から長崎までの所要時間は30分を切ると見込まれ、住民たちは「早かね」「ちゃんぽん食べている間に着くね」などと冗談めかして話していた。

 武雄市のJR武雄温泉駅のホームであった歓迎セレモニーには、抽選で選ばれた440人や地元こども園の園児、関係者ら約510人が集まった。午前11時15分、「ちびっこ駅長」の岩井世運(せうん)君(4)と山本芳嗣駅長、武雄市の小松政市長が待ち構える中、車両がゆっくりと11番ホームに入ると、歓声や拍手が湧き起こった。

 式典で小松市長は「開業まで135日。開業まで盛り上げていきましょう」とあいさつした。

 この日の車両の運転士、山口耕右さん(34)は武雄市出身。「新幹線をやっと武雄に持ってくることができ感無量です。これからは武雄市の魅力を全国に発信していきたい。9月23日の開業が待ち遠しいです」と喜びを語った。ちびっこ駅長の岩井君は「新幹線かもめ号の顔が好き。(開業したら)一番に乗りたい」と話していた。

 ホームで新幹線車両を出迎えた武雄市の野田潤一さん(54)は、「在来線の本数が減るのは寂しいが、長崎や福岡へ行きやすくなる。気軽に長崎観光が出来そうです」と話していた。

 駅近くにあり、線路に隣接する武雄市役所では、3階の「トレインビューテラス」や線路側のテラスに、来庁者や市職員ら約300人が集まった。車両が目の前を走ると歓声が上がり、市が用意したうちわや手を振って歓迎した。

 鉄道・運輸機構によると、走行試験は6月16日までの予定。武雄温泉―長崎間を1日1~3往復し、段階的に速度を上げ線路や架線などの設備を確認する。(長沢幹城、寿柳聡)