土器の「顔」から縄文人の心に迫る 山梨県立考古博物館で企画展

石平道典
[PR]

 縄文土器に描かれた顔、顔、顔――。山梨県立考古博物館(甲府市下曽根町)で開催中の企画展「心を描く縄文人―人面・土偶装飾付土器の世界―」では、人や動物とみられる様々な顔が表現された124点を展示。土器を作った縄文人の心に迫ろうというものだ。

 縄文時代中期(約4500年前)、山梨で作られた土器には単なる装飾にとどまらない、複雑で意味ありげなモチーフが描かれた。一之瀬敬一・学芸員は「人口が増えたことで、縄文人の中で共通する物語が語られ、土器にも文様として表現されるようになったと考えられる」と話す。

 企画展は、土器に描かれた「顔」に注目して縄文人のメッセージを読み解く。人面装飾付土器のうち「出産文土器」は、胴部から出ようとする顔が見えることから、出産の様子を表したものと考えられている。イノシシやヘビ、カエルなど動物の表現がある土器、踊るような人の姿が描かれた「人体文土器」など、様々な土器が展示されている。

 人面装飾付土器の中には、顔面部分が取り外されたり破壊されたりして出土したものも多く、そうした顔だけをずらりと並べたコーナーも。一之瀬さんは「縄文土器は現在に残された縄文人のメッセージ。土器に表現された顔を通して、彼らの心の中を想像してもらえたら」と話す。

 同館企画展示室で6月12日まで。月曜休館。観覧無料。問い合わせは同館(055・266・3881)へ。(石平道典)

     ◇

 山梨県内各地の遺跡から発掘された代表的な縄文土器や土偶を一堂に集めた特別展「縄文―JOMON―展」が今秋、県立美術館(甲府市貢川1丁目)で開かれる。考古学的だけでなく、優れた造形美を美術的な視点から紹介する展覧会になりそうだ。

 全国有数の縄文文化が発展した地域として知られる山梨。八ケ岳周辺や甲府盆地では縄文時代の土器や遺跡が数多く見つかり、県は「縄文王国山梨」としてPRしている。

 特別展には県立考古博物館をはじめ、1116点もの土偶が出土した釈迦堂遺跡(笛吹市甲州市)など県内各所に所蔵されている土器や土偶が集結。県立美術館は「縄文文化の美術的な価値を改めて知る機会になる」としている。

 特別展は9月10日~11月6日の予定。他館に巡回せず、山梨のみの開催だ。

 県内の土器や土偶は、東京国立博物館東京都)で2018年に開催され、「縄文ブーム」を巻き起こした特別展に出展されるなどし、耳目を集めている。