全事件・全過程での可視化求める 大阪弁護士会長が声明
森下裕介
大阪弁護士会(福田健次会長)は10日、刑事事件の取り調べの改善を求める会長声明を発表した。取り調べの録音・録画(可視化)について、義務化の対象事件を現在の「裁判員裁判になる事件と検察が独自に捜査する事件」から拡大することや、弁護人の取り調べへの立ち会いを法制化するよう政府に求めた。
取り調べの全過程の可視化は、2019年6月の改正刑事訴訟法の施行で義務化された。同法の付則が、施行後3年で必要に応じて見直しを行うとしており、声明は「冤罪(えんざい)事件への反省を踏まえ、更なる改正につなげなければならない」と主張した。
大阪地検特捜部が手がけた、東証1部上場の不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の元社長が起訴された事件では、検事の取り調べによって関係者が虚偽の供述をした可能性があると裁判所が認定し、元社長の無罪が確定した。声明では、逮捕されていない在宅の容疑者や事件の参考人を含め、あらゆる取り調べの全面可視化を要求。冤罪を防ぐため、弁護人の立ち会いの法制化も求めた。(森下裕介)
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