国連はもう限界なのか 世界秩序の3つの分かれ道と日本ができること

有料会員記事ウクライナ情勢

聞き手・池田伸壹
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高須幸雄さん|元国連大使・元国連事務次長

 ウクライナ情勢をめぐって国連の機能不全が指摘されている。日本の外交官として、また国連幹部として、長く国連の現場に身を置いてきた高須幸雄さんは、国連の存在意義が問われているとして、かつてない危機感を抱いている。世界は規範性を取り戻すことができるのか。そして、日本はそのために何ができるのかを聞いた。

たかす・ゆきお

1946年生まれ。外務省で国連政策課長、国連改革担当大使、国際社会協力部長、国連大使など、国連事務局財務官、事務次長、事務総長特別顧問などを歴任。NPO法人「人間の安全保障」フォーラム理事長。共編著に「日本と国連の50年」。編著に「全国データ SDGsと日本」。

 ――ロシアによるウクライナ侵攻で、国連は十分な手を打てていないように見えます。

 「何十年も国連に関わってきましたが、非常に残念だし、かつてない危機感を持っています。第1次世界大戦と第2次世界大戦を経験した人類が、国際紛争を平和的に解決し、第3次世界大戦を起こさないようにするためにつくったのが国連です。今回は何もやっていないとは言わないですが、侵攻を止めることができませんでした。侵攻が始まってからも有効な手を打てず、ロシアによる虐殺も防げませんでした」

 「ルールを破って国境を越えて他国の領土に攻めていくような国があれば、すべての国連加盟国が協力してそれをやめさせる。それが国連の集団安全保障という仕組みです。『国連は何をやっているんだ』という疑問が出るのは当然だし、『国連は何のためにあるのか』と存在意義が問われても仕方ないほどの危機です」

 ――どうして身動きが取れなくなっているのでしょうか。

 「すべての加盟国を拘束する決定ができるのは安全保障理事会です。安保理では米英仏中ロの五つの常任理事国拒否権を持っていて、一国でも反対すれば決議案は葬り去られてしまいます。常任理事国がルールを破った場合、その常任理事国に対する行動を決定することは、安保理にとって事実上不可能なのです」

安保理の常任理事国が武力を使って他国の領土に攻め入り、政治的独立性を侵害するという異常な事態。記事後半では、国連に残された選択肢や、世界秩序の行方、日本が進むべき道を考えます。

暴挙に出た「国際平和の守り神」

 ――なぜそのような仕組みになってしまったのでしょう。

 「第2次世界大戦末期、米国…

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    沢村亙
    (朝日新聞論説委員=国際政治、歴史)
    2022年5月13日9時44分 投稿

    【視点】 「常任理事国は国際平和の守り神。国際紛争を平和的に解決するという国連創設の原則を守る重い責任があるはず」という高須さんの指摘。この「はず」の2文字が、混迷の根源を象徴的に示している。拒否権という「特権」を付与されたかわりに重い責任を負わさ